共有者が行方不明でも不動産は売却できる?所在不明の場合の対処法を解説

相続・共有トラブル

共有名義の不動産を売却したいのに、 共有者の一人がどこにいるのか分からないケースがあります。

たとえば、

  • 何十年も連絡を取っていない
  • 登記上の住所から転居している
  • 親族も現在の住所を知らない
  • 手紙を送っても戻ってくる
  • 生死すら分からない

といった状況です。

この場合、 不動産全体を通常の方法で売却することは難しくなる可能性があります。

不動産全体の売却には、 原則として共有者全員の協力が必要だからです。

一方、 自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として所在不明の共有者の同意なく売却できます。

また、本当に共有者の所在が分からない場合には、 状況に応じて不在者財産管理人や 所在等不明共有者に関する制度などを検討できる場合があります。

この記事では、 共有者が行方不明の場合の不動産売却、 所在確認の方法、 利用できる可能性がある法的制度、 自分の持分だけを売却する方法まで解説します。

  1. 共有者が行方不明だと不動産全体は売却できない?
  2. 自分の共有持分だけなら売却できる
    1. 所在不明の共有者がいて売却できず困っている方へ
  3. まず「本当に行方不明なのか」を確認する
  4. 共有者の所在を確認する主な方法
    1. 登記事項証明書を確認する
    2. 住民票・戸籍関係の情報を確認する
    3. 死亡していないか確認する
  5. 調べても共有者の所在が分からない場合
  6. 不在者財産管理人とは?
  7. 所在等不明共有者に関する制度とは?
  8. 失踪宣告とは?
  9. 所在不明の場合の主な選択肢を比較
  10. 自分の共有持分だけ売却する方法
  11. 所在不明の共有者がいる持分の査定ポイント
    1. 行方不明の共有者がいても持分は査定できます
  12. 自分の持分を売却する流れ
  13. 共有者が多数いるうえに一部が所在不明の場合
  14. 所在不明の共有者がいる状態を放置すると?
    1. 相続によって権利関係がさらに複雑になる
    2. 不動産全体の売却が難しい状態が続く
    3. 管理・修繕の問題が残る
    4. 固定資産税などの問題が続く
  15. 所在不明の場合に避けたいこと
    1. 所在不明者の持分を勝手に売却する
    2. 本人の署名・押印を勝手に行う
    3. 「行方不明だから死亡した」と判断する
    4. 長期間何もしない
  16. 共有者が行方不明の場合によくある質問
    1. 所在不明の共有者がいても自分の持分は整理できます
  17. まとめ|所在不明でも「全体売却」と「持分売却」は分けて考える

共有者が行方不明だと不動産全体は売却できない?

通常の売買で共有不動産全体を第三者へ売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。

たとえば、

  • A:1/2
  • B:1/2

で土地を共有していて、 Bの所在が分からないとします。

Aだけが売却に賛成していても、 Bの1/2持分までAが勝手に第三者へ売却することはできません。

そのため、 不動産全体を売却したいのであれば、 まずBの所在確認や、 状況に応じた手続きを検討する必要があります。

自分の共有持分だけなら売却できる

共有者の所在が分からない場合でも、 自分が所有する共有持分まで 当然に処分できなくなるわけではありません。

先ほどの例でAが1/2を所有しているなら、 A自身の1/2持分だけを第三者へ売却することは原則として可能です。

売却後は、

  • 買主:1/2
  • 所在不明のB:1/2

という共有状態になります。

つまり、 「不動産全体を売ること」と 「自分の持分だけを売ること」は分けて考える必要があります。

所在不明の共有者がいて売却できず困っている方へ

不動産全体の売却が難しい場合でも、 自分の共有持分だけなら売却できる可能性があります。

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まず「本当に行方不明なのか」を確認する

「連絡が取れない」というだけで、 すぐに法的な意味で所在不明になるとは限りません。

たとえば、

  • 電話番号を知らない
  • 昔の住所しか知らない
  • 長年疎遠になっている
  • 連絡しても返事がない

だけであれば、 調査によって現在の所在が確認できる可能性があります。

そのため、 まず登記上の住所や親族が把握している情報などを整理しましょう。

共有者の所在を確認する主な方法

登記事項証明書を確認する

まず、 不動産の登記事項証明書に記載されている 共有者の住所を確認します。

ただし、 登記上の住所が古いままになっている場合もあります。

住民票・戸籍関係の情報を確認する

状況によっては、 住民票や戸籍の附票などから 住所の変遷を確認できる場合があります。

ただし、 これらの書類は誰でも自由に取得できるわけではありません。

請求できる立場や正当な理由などが必要になるため、 必要に応じて司法書士・弁護士などへ相談します。

死亡していないか確認する

長期間連絡が取れない共有者については、 すでに死亡しているケースもあります。

共有者が死亡していた場合には、 その共有持分は相続の対象になります。

そのため、 相続人や相続登記の状況を確認する必要があります。

調べても共有者の所在が分からない場合

必要な調査をしても共有者の所在が確認できない場合には、 具体的な目的や状況に応じて、 法的な制度を利用できる可能性があります。

代表的なものとして、

  • 不在者財産管理人制度
  • 所在等不明共有者に関する制度
  • 失踪宣告

などがあります。

ただし、 これらは目的や要件がそれぞれ異なります。

「共有者が見つからないから好きな制度を選べる」 というものではありません。

不在者財産管理人とは?

従来から利用されている方法の一つが、 不在者財産管理人制度です。

住所や居所を去って容易に戻る見込みのない人について、 利害関係人などの申立てにより、 家庭裁判所が不在者財産管理人を選任する制度です。

管理人は不在者の財産を管理します。

不動産の売却など、 管理権限を超える行為を行う場合には、 家庭裁判所の権限外行為許可が必要になることがあります。

そのため、 単に管理人が選任されれば 自由に不動産を売却できるわけではありません。

所在等不明共有者に関する制度とは?

共有不動産については、 所在等不明共有者がいる場合に利用できる制度が整備されています。

一定の要件を満たす場合には、 裁判所の手続きを通じて、

  • 所在等不明共有者の持分を取得する
  • 所在等不明共有者の持分を含めて不動産を第三者へ譲渡する

といった方法を検討できる場合があります。

ただし、 申立てや公告、 供託などの手続きが必要になることがあり、 個別の事情によって利用できるかどうかが異なります。

不動産全体を売却したい場合には、 弁護士などへ具体的な要件を確認することが重要です。

失踪宣告とは?

長期間にわたり生死が分からない場合には、 失踪宣告が問題になることがあります。

失踪宣告は、 単に連絡が取れないというだけで利用する制度ではありません。

一定期間生死が不明であることなど、 法律上の要件があります。

失踪宣告が確定すると、 法律上死亡したものとみなされ、 相続が開始することになります。

そのため、 単なる住所不明の場合とは大きく異なります。

所在不明の場合の主な選択肢を比較

方法 主な目的 注意点
所在調査 共有者本人と連絡を取る 調査で所在が判明する場合あり
不在者財産管理人 不在者の財産を管理する 処分行為には裁判所の許可が必要になる場合あり
所在等不明共有者の持分取得 一定の要件のもとで所在等不明共有者の持分を取得する 裁判所の手続き・供託等が必要
所在等不明共有者の持分譲渡 一定の要件のもとで不動産全体を第三者へ譲渡する 裁判所の手続き・供託等が必要
失踪宣告 長期間生死不明の場合に法律上の死亡を確定させる 単なる住所不明とは異なる
自分の持分だけ売却 自分だけ共有関係から離れる 買主が新しい共有者になる
重要

所在不明の共有者がいる場合でも、 必ず同じ制度を利用するわけではありません。 「不動産全体を売却したい」 「所在不明者の持分を取得したい」 「自分の持分だけ手放したい」 など、目的によって適した方法が異なります。

自分の共有持分だけ売却する方法

所在不明の共有者について裁判所の手続きを行うのではなく、 自分の共有持分だけを売却する方法もあります。

自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。

そのため、

  • 共有者を探すのに時間をかけたくない
  • 不動産全体の売却にこだわらない
  • 自分だけ共有関係から離れたい
  • 共有持分を現金化したい

という場合には、 持分単独売却を検討できます。

所在不明の共有者がいる持分の査定ポイント

共有者の一人が所在不明の場合でも、 自分の共有持分について査定を受けることは可能です。

査定では、

  • 不動産全体の市場価格
  • 自分の持分割合
  • 共有者の人数
  • 所在不明者の持分割合
  • 現在の利用状況
  • 相続登記の状況
  • 抵当権・差押えなどの権利関係

などを確認します。

特に、 「いつから所在が分からないのか」 「これまでどのような調査をしたのか」 なども伝えておくと、 現在の共有状況を把握しやすくなります。

行方不明の共有者がいても持分は査定できます

不動産全体の売却が難しい場合でも、 自分の共有持分だけを売却した場合の価格を確認できます。

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自分の持分を売却する流れ

STEP1|登記を確認

まず登記事項証明書で、 現在の共有者とそれぞれの持分割合を確認します。

STEP2|所在不明の状況を整理

共有者について、

  • 最後に連絡した時期
  • 最後に把握している住所
  • これまで行った所在調査
  • 生死が確認できているか

などを整理します。

STEP3|共有持分の査定を依頼

不動産全体ではなく、 自分が所有している共有持分だけを売却した場合の 査定価格を確認します。

STEP4|価格・契約条件を確認

査定価格だけではなく、 決済時期や必要書類、 売主が負担する費用なども確認します。

STEP5|売買契約・決済

価格・条件に納得できれば、 自分の共有持分について売買契約を締結します。

決済と所有権移転登記が完了し、 自分の持分全部を売却すれば、 原則として共有関係から離れることになります。

共有者が多数いるうえに一部が所在不明の場合

相続が繰り返された不動産では、 共有者が10人、20人と増え、 その中の一部について所在が分からないケースがあります。

この場合、 不動産全体を通常の売買で売却しようとすると、 原則として多数の共有者の協力が必要になります。

共有者が多いほど、

  • 連絡先の確認
  • 売却条件の合意
  • 相続登記の確認
  • 必要書類の収集

などが複雑になる可能性があります。

一方、 自分の共有持分だけを売却する場合には、 原則として他の共有者全員の売却同意を取得する必要はありません。

所在不明の共有者がいる状態を放置すると?

相続によって権利関係がさらに複雑になる

所在不明の共有者が死亡すると、 その持分が相続人へ承継される可能性があります。

相続登記がされないまま時間が経過すると、 後から現在の権利者を確認するために 複数世代の相続関係を調査しなければならないケースもあります。

不動産全体の売却が難しい状態が続く

共有者全員の協力が必要な通常の全体売却では、 所在不明者の問題が解決しない限り 手続きを進めにくい状態が続く可能性があります。

管理・修繕の問題が残る

建物がある場合には、 時間が経つにつれて老朽化が進む可能性があります。

共有者間で管理や修繕について 調整する必要が生じることもあります。

固定資産税などの問題が続く

不動産を保有し続ける限り、 固定資産税や維持管理費などの問題も続く可能性があります。

所在不明の場合に避けたいこと

所在不明者の持分を勝手に売却する

共有者の所在が分からないからといって、 その共有者の持分を他の共有者が 自由に第三者へ売却できるわけではありません。

所在等不明共有者の持分を含めた処分を行う場合には、 要件に応じた裁判所の手続きなどが必要になります。

本人の署名・押印を勝手に行う

不動産全体を売却するために、 所在不明者本人の意思なく 署名・押印を行うことはできません。

「行方不明だから死亡した」と判断する

長期間連絡が取れないというだけで、 当然に法律上死亡したことになるわけではありません。

失踪宣告には法律上の要件と裁判所の手続きがあります。

長期間何もしない

時間が経過すると、 相続によって権利関係がさらに複雑になる可能性があります。

将来的に処分する予定がある場合には、 早めに現在の権利関係を確認しておくことが重要です。

所在不明の場合の基本的な考え方

まず、 ・本当に所在不明なのか調査する
・死亡していないか確認する
・自分が何をしたいのか整理する
・全体売却が必要なのか考える
・自分の持分だけの売却も比較する という順番で整理すると分かりやすくなります。

共有者が行方不明の場合によくある質問

Q. 共有者が行方不明でも自分の持分だけ売れますか?

自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。 ただし、登記や権利関係について個別に確認が必要な場合があります。

Q. 行方不明の共有者を除いて不動産全体を売れますか?

通常の売買で所在不明者の持分まで他の共有者が勝手に処分することはできません。 不動産全体を処分したい場合には、 所在調査や利用できる裁判所の制度などを検討する必要があります。

Q. 所在等不明共有者の持分を自分が取得する制度はありますか?

一定の要件を満たす場合には、 裁判所の手続きを通じて所在等不明共有者の持分を取得できる制度があります。 申立て、公告、供託などが必要になるため、 具体的な利用可否は専門家へ確認しましょう。

Q. 所在不明者の持分を含めて第三者へ売却できる制度はありますか?

一定の要件のもとで、 裁判所の手続きを通じて所在等不明共有者の持分を含めて 不動産を第三者へ譲渡できる制度があります。 具体的な要件や手続きは個別に確認が必要です。

Q. 何年連絡が取れなければ失踪宣告できますか?

普通失踪では、原則として生死が7年間明らかでないことが要件になります。 戦争・船舶事故など一定の危難に遭遇した場合には、 特別失踪として別の期間・要件があります。 単に住所や電話番号が分からないだけでは足りません。

Q. 不在者財産管理人を選任すればすぐ売却できますか?

不在者財産管理人が選任されたからといって、 当然に自由な不動産処分ができるわけではありません。 売却など管理権限を超える行為には、 家庭裁判所の権限外行為許可が必要になる場合があります。

所在不明の共有者がいても自分の持分は整理できます

複雑な共有状態でも、 まず自分の共有持分だけを売却した場合の価格を確認できます。

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まとめ|所在不明でも「全体売却」と「持分売却」は分けて考える

共有者が行方不明の場合には、 不動産全体の売却と自分の共有持分だけの売却を 分けて考えることが重要です。

通常の方法で不動産全体を第三者へ売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。

そのため、 共有者の所在が分からない場合には、

  • 登記上の住所を確認する
  • 所在を調査する
  • 死亡していないか確認する
  • 利用できる裁判所の制度を検討する

などの対応が必要になることがあります。

一方、 自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として所在不明の共有者の同意なく売却できます。

そのため、 不動産全体の売却にこだわらず、 自分だけ共有関係から離れたい場合には 持分単独売却も選択肢になります。

また、 所在不明の状態を長期間放置すると、 相続によって共有者や権利関係が さらに複雑になる可能性があります。

まず現在の登記・共有者・持分割合を確認し、 全体売却を目指すのか、 法的制度を利用するのか、 自分の共有持分だけを売却するのかを比較して判断することが重要です。

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