兄弟・親族・夫婦などで共有している不動産を売却すると、 売却代金だけでなく 税金についても考える必要があります。
たとえば、 兄弟2人が1/2ずつ所有している不動産を 5,000万円で売却した場合、
「税金も2人で半分ずつ払う?」
「代表者がまとめて確定申告する?」
「一人だけ住んでいた場合は3,000万円控除を使える?」
「相続した不動産は取得費をどう計算する?」
といった疑問が生じます。
結論からいうと、 共有不動産を売却した場合の譲渡所得は、 原則として各共有者ごとに計算します。
共有者全員で不動産全体を一括して売却しても、 税金まで代表者一人にまとめられるわけではありません。
各共有者について、
- 持分に対応する売却収入
- 取得費
- 譲渡費用
- 所有期間
- 利用できる特例
などを確認して 譲渡所得を計算する必要があります。
この記事では、 共有不動産を売却した場合の税金、 共有者ごとの譲渡所得の計算方法、 相続不動産・マイホーム・取得費が分からない場合などを解説します。
- 共有不動産を売却するとどんな税金がかかる?
- 共有者ごとに譲渡所得を計算する
- 税金も持分割合で単純に半分?
- 共有不動産の税金を具体例で計算
- 譲渡費用には何が含まれる?
- 住宅ローン残高は譲渡所得から引ける?
- 長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い
- 相続した共有不動産の所有期間はどうなる?
- 相続した不動産の取得費はどうなる?
- 取得費が分からない場合は?
- 建物の取得費は減価償却を考慮する
- マイホームの3,000万円特別控除は共有者全員が使える?
- 一人だけ住んでいた場合は?
- 相続した空き家にも特例がある?
- 相続税を払っていた場合は取得費に加算できる?
- 共有者ごとに取得時期が違う場合は?
- 共有者の一人が代表して確定申告できる?
- 確定申告はいつする?
- 売却代金を受け取った金額と税金の計算は同じ?
- 持分割合と違う売却代金を受け取った場合の注意点
- 共有持分だけを売却した場合も税金はかかる?
- 共有不動産を売却する前に準備したい税務資料
- 共有不動産の売却税金でよくある質問
- 共有不動産を売却するときの税金チェックリスト
- まとめ|共有不動産の税金は共有者ごとに計算する
共有不動産を売却するとどんな税金がかかる?
不動産を売却して利益が生じた場合には、 その利益に対して 所得税・復興特別所得税・住民税が 課税されることがあります。
この売却による所得を 譲渡所得といいます。
基本的な考え方は、
譲渡所得 = 売却収入 −(取得費 + 譲渡費用)
です。
さらに利用できる特別控除がある場合には、 一定の要件のもとで 控除を適用して課税譲渡所得を計算します。
5,000万円で売れたからといって、 5,000万円全額に 譲渡所得税がかかるわけではありません。 売却収入から、 ・取得費
・譲渡費用
・適用できる特別控除 などを考慮して 課税対象となる譲渡所得を計算します。
共有者ごとに譲渡所得を計算する
共有不動産を売却した場合には、 各共有者が所有している持分に応じて 売却収入などを整理します。
たとえば、 5,000万円で売却し、
- A:1/2
- B:1/2
であれば、 単純な持分割合では 各共有者に対応する売却収入は 2,500万円ずつとなります。
そのうえで、 A・Bそれぞれについて 取得費・譲渡費用・特例などを確認します。
税金も持分割合で単純に半分?
売却収入を持分割合で分けるとしても、 最終的な税額まで必ず同じになるとは限りません。
たとえば、 同じ1/2持分でも、
- Aはその家に住んでいた
- Bは別の場所に住んでいた
というケースがあります。
この場合、 マイホーム売却に関する特例の適用可否などが 共有者ごとに異なる可能性があります。
また、 取得時期・取得原因などが異なる場合には、 取得費や所有期間についても 共有者ごとの確認が必要になることがあります。
共有不動産の税金を具体例で計算
分かりやすく単純化して、
- 売却価格:5,000万円
- A:1/2
- B:1/2
- 取得費:全体で3,000万円
- 譲渡費用:全体で200万円
とします。
各金額を持分割合に応じて整理すると、 一例として、
- Aの売却収入:2,500万円
- Aの取得費:1,500万円
- Aの譲渡費用:100万円
となります。
この場合、 特別控除を考慮する前のAの譲渡所得は、
2,500万円 −(1,500万円 + 100万円) = 900万円
となります。
Bも条件が同じであれば、 同様に900万円となります。
ただし実際には、 各共有者の取得状況や特例などを確認する必要があります。
譲渡費用には何が含まれる?
譲渡費用とは、 不動産を売却するために直接かかった費用などをいいます。
代表的なものとして、
- 売却時の仲介手数料
- 売買契約書の印紙税のうち売主負担分
- 売却のために必要となった一定の測量費
- 売却のために行った一定の建物取壊し費用
などが該当することがあります。
一方、 固定資産税や通常の修繕費など、 不動産を維持するための費用が すべて譲渡費用になるわけではありません。
住宅ローン残高は譲渡所得から引ける?
よくある誤解が、
「住宅ローンが1,000万円残っているから、 譲渡所得から1,000万円引ける」
というものです。
住宅ローン残高は、 売却代金から返済することがありますが、 それ自体が通常そのまま 譲渡所得の計算上の取得費・譲渡費用になるわけではありません。
手元に残るお金の計算と、 譲渡所得税の計算は分けて考える ことが重要です。
長期譲渡所得と短期譲渡所得の違い
土地・建物の譲渡所得に対する税率は、 所有期間によって異なります。
売却した年の1月1日時点で 所有期間が5年を超えている場合には、 原則として長期譲渡所得となります。
5年以下の場合には、 原則として短期譲渡所得となります。
| 区分 | 判定 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 売却年の1月1日時点で所有期間5年超 | 所得税15%+住民税5%+復興特別所得税 |
| 短期譲渡所得 | 売却年の1月1日時点で所有期間5年以下 | 所得税30%+住民税9%+復興特別所得税 |
復興特別所得税は、 所得税額に対して2.1%が加算されます。
そのため一般的な税率の目安は、
- 長期譲渡所得:約20.315%
- 短期譲渡所得:約39.63%
となります。
所有期間の判定は、 単純に購入日から売却日までが5年間経過しているかではなく、 売却した年の1月1日時点 で判定する点に注意しましょう。
相続した共有不動産の所有期間はどうなる?
親から相続した不動産を 兄弟で共有しているケースも多くあります。
相続によって取得した不動産については、 原則として被相続人の取得時期を 引き継いで所有期間を判定します。
たとえば、 父が20年前に購入した不動産を 兄弟が相続し、 相続から2年後に売却した場合でも、 単純に、
「相続してから2年だから短期譲渡所得」
と判断するわけではありません。
被相続人の取得時期を含めて 所有期間を確認する必要があります。
相続不動産の所有期間は、 原則として亡くなった人の取得時期を引き継ぎます。 相続後すぐに売却する場合でも、 長期譲渡所得になるケースがあります。
相続した不動産の取得費はどうなる?
相続によって取得した不動産では、 取得費についても、 原則として被相続人がその不動産を取得したときの 取得費を引き継ぎます。
そのため、
- 購入時の売買契約書
- 購入代金の領収書
- 仲介手数料の資料
- 取得時の契約関係資料
などが残っていないか確認しましょう。
古い相続不動産では、 親や祖父母が何十年も前に取得しており、 取得費が分からないことがあります。
取得費が分からない場合は?
実際の取得費が分からない場合には、 一定の場合に 売却代金の5%相当額を概算取得費として計算する方法 があります。
たとえば、 自分の持分に対応する売却収入が2,000万円なら、 概算取得費は、
2,000万円 × 5% = 100万円
となります。
取得費が小さくなると、 その分だけ譲渡所得が大きくなり、 税負担が増える可能性があります。
そのため、 最初から概算取得費を使うのではなく、 購入当時の資料が残っていないか 十分に確認することが重要です。
建物の取得費は減価償却を考慮する
土地と建物では、 取得費の考え方が異なる部分があります。
土地は使用によって価値が減少する資産として 減価償却するものではありません。
一方、 建物については、 所有期間中の減価償却費相当額を考慮して 売却時の取得費を計算します。
そのため、 購入価格をそのまま全額 建物の取得費として使えるとは限りません。
マイホームの3,000万円特別控除は共有者全員が使える?
自宅として使用していた不動産を売却した場合には、 一定の要件を満たすことで、 居住用財産を譲渡した場合の 3,000万円特別控除を利用できることがあります。
共有名義だからという理由だけで、
「不動産全体で3,000万円を共有者全員で分ける」
と単純に判断するわけではありません。
特例の適用については、 各共有者ごとに要件を確認することが重要です。
たとえば、 夫婦で1/2ずつ共有していても、 それぞれについて 居住用財産の特例の要件を満たしているかを確認します。
一人だけ住んでいた場合は?
共有不動産について、
- A:1/2・その家に居住
- B:1/2・別の場所に居住
というケースがあります。
この場合、 AとBが同じ共有不動産を同時に売却したとしても、 居住用財産の特例を利用できるかどうかについては、 各共有者の利用状況や要件を 個別に確認する必要があります。
「Aが住んでいたからBも当然に同じ特例を使える」
とは限りません。
相続した空き家にも特例がある?
相続した被相続人の居住用財産を売却する場合には、 一定の要件を満たすことで 譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が 利用できる場合があります。
ただし、
- 相続開始時の状況
- 建物の建築時期
- 売却時期
- 売却価格
- 売却までの利用状況
- 耐震・取壊し等に関する要件
など、 複数の要件があります。
また、 相続人が複数いる場合には、 控除額の上限が変わるケースもあります。
適用を検討する場合には、 売却前に最新の要件を 税理士・税務署などへ確認することが重要です。
相続税を払っていた場合は取得費に加算できる?
相続によって取得した不動産を 一定期間内に売却した場合には、 一定の要件を満たすことで、 支払った相続税のうち一定額を 譲渡所得の取得費へ加算できる特例があります。
これを一般に、 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例 といいます。
相続税を支払っている場合には、 この特例を利用できないか確認しましょう。
共有者ごとに取得時期が違う場合は?
一つの不動産でも、 共有者ごとに持分を取得した時期や原因が 異なるケースがあります。
たとえば、
- A:以前から1/2を所有
- B:相続によって1/2を取得
などです。
また、 一人の共有者自身が 異なる時期に持分を追加取得していることもあります。
このような場合には、 取得費や所有期間の計算が 単純ではなくなる可能性があります。
持分ごとの取得原因・取得時期・取得価格を 整理することが重要です。
共有者の一人が代表して確定申告できる?
共有不動産全体を一つの売買契約で売却したとしても、 譲渡所得は原則として 各共有者ごとに計算します。
そのため、
「代表者一人が不動産全体の譲渡所得をまとめて申告すれば終わり」
とは考えません。
申告が必要な場合には、 各共有者が自分に帰属する譲渡所得について 確定申告を行うことになります。
確定申告はいつする?
不動産を売却して 確定申告が必要になる場合には、 原則として 売却した年の翌年に申告します。
たとえば、 2026年中に不動産を売却した場合には、 原則として2027年の確定申告期間に 申告することになります。
特例を利用する場合には、 税額がゼロになるケースでも 確定申告が必要になることがあります。
3,000万円特別控除などを利用して 結果的に譲渡所得税が0円になる場合でも、 特例を適用するために 確定申告が必要になることがあります。 「税金が出ない=何もしなくてよい」 とは限らない点に注意しましょう。
売却代金を受け取った金額と税金の計算は同じ?
共有不動産では、 共有者間の費用精算によって、 実際に受け取る金額が 登記上の持分割合と異なる場合があります。
しかし、 実際の入金額だけを見て 譲渡所得を計算できるとは限りません。
たとえば、
- 固定資産税の立替え
- 修繕費の立替え
- 住宅ローンの精算
- 共有者間の債権債務
などによって、 決済時の受取額が調整されることがあります。
売却代金の分配・共有者間の精算と、 税務上の譲渡所得計算は分けて確認することが重要です。
持分割合と違う売却代金を受け取った場合の注意点
共有者間で、 登記上の持分割合とは大きく異なる金額を 分配するケースがあります。
合理的な精算理由がある場合もありますが、 理由なく一方の共有者へ 多くの売却代金を渡した場合には、 贈与税など別の税金が問題になる可能性があります。
そのため、
- なぜ持分割合と異なるのか
- 何の精算なのか
- 金額の根拠は何か
を明確にしておきましょう。
共有持分だけを売却した場合も税金はかかる?
不動産全体ではなく、 自分が所有している共有持分だけを売却した場合でも、 売却によって譲渡所得が生じれば 税金がかかる可能性があります。
基本的には、 自分が売却した持分について、
- 売却収入
- 取得費
- 譲渡費用
- 所有期間
- 利用できる特例
などを確認します。
共有持分だけの売却でも、 「持分だから税金はかからない」 というわけではありません。
共有不動産を売却する前に準備したい税務資料
- 購入時の売買契約書
- 領収書
- 仲介手数料の資料
などを探します。
売買・相続・贈与など、 各共有者がどのように持分を取得したのか確認します。
長期譲渡所得・短期譲渡所得の判定に必要となる 取得時期を整理します。
仲介手数料・印紙税など、 譲渡費用となる可能性がある支出について 領収書等を保存します。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 相続空き家に関する特例
- 相続税の取得費加算
など、 利用できる可能性がある特例を確認します。
各共有者について、 持分・取得費・譲渡費用・所有期間・特例を整理します。
共有不動産の売却税金でよくある質問
Q. 共有不動産を売ったら代表者がまとめて税金を払うのですか?
原則として、 譲渡所得は各共有者ごとに計算します。 共有不動産全体を一つの売買契約で売却した場合でも、 各共有者が自分に帰属する譲渡所得について 税務上の処理を行うことになります。
Q. 持分が1/2ずつなら税金も同額ですか?
必ず同額になるとは限りません。 同じ1/2持分でも、 各共有者の取得時期・取得費・不動産の利用状況・ 適用できる特例などが異なれば、 最終的な税額が異なる可能性があります。
Q. 5,000万円で売却したら5,000万円に税金がかかりますか?
売却価格そのものに譲渡所得税がかかるわけではありません。 基本的には、 売却収入から取得費・譲渡費用などを差し引いて 譲渡所得を計算します。 適用できる特別控除がある場合には、 その控除も考慮して課税譲渡所得を計算します。
Q. 住宅ローン残高は譲渡所得から差し引けますか?
住宅ローン残高そのものは、 通常、そのまま取得費や譲渡費用として 譲渡所得から差し引くものではありません。 売却代金から住宅ローンを返済して 実際に手元へ残る金額の計算と、 税務上の譲渡所得の計算は分けて考える必要があります。
Q. 相続して2年で売ったら短期譲渡所得ですか?
必ずしも短期譲渡所得になるわけではありません。 相続によって取得した不動産では、 原則として被相続人の取得時期を引き継いで 所有期間を判定します。 そのため、親が長期間所有していた不動産であれば、 相続後2年で売却しても長期譲渡所得となる場合があります。
Q. 親がいくらで購入したのか分からない場合はどうしますか?
実際の取得費が分からない場合には、 一定の場合に売却代金の5%相当額を 概算取得費として計算する方法があります。 ただし、概算取得費を使うと 譲渡所得が大きくなる可能性があるため、 購入当時の契約書・領収書などが残っていないか まず確認することが重要です。
Q. 共有者全員が3,000万円特別控除を使えますか?
共有名義であるという理由だけで、 共有者全員が当然に同じ特例を利用できるわけではありません。 居住用財産の3,000万円特別控除については、 各共有者ごとに適用要件を確認する必要があります。
Q. 自分は住んでいませんが、他の共有者が住んでいました。3,000万円控除を使えますか?
他の共有者が居住していたという事実だけで、 自分についても当然に同じ特例が適用されるとは限りません。 各共有者の居住状況や持分、 その他の適用要件を個別に確認する必要があります。
Q. 取得費に固定資産税や住宅ローン返済額を入れられますか?
固定資産税や住宅ローンの元本返済額が、 そのまますべて取得費になるわけではありません。 取得費・譲渡費用に該当するものと、 保有中の費用やローン返済は分けて整理する必要があります。 具体的な税務処理は税理士・税務署などへ確認しましょう。
Q. 税金が0円になりそうでも確定申告は必要ですか?
特例を利用した結果、 譲渡所得税が0円になる場合でも、 その特例を適用するために 確定申告が必要になることがあります。 税額だけで申告の要否を判断しないことが重要です。
Q. 自分の共有持分だけを売却した場合も譲渡所得税はかかりますか?
共有持分だけの売却でも、 売却によって譲渡所得が生じれば 所得税・復興特別所得税・住民税が かかる可能性があります。 自分が売却した持分について、 売却収入・取得費・譲渡費用・所有期間・特例などを確認します。
Q. 持分割合と違う金額を受け取った場合はどうなりますか?
共有者間の費用精算など、 合理的な理由によって最終受取額が異なる場合があります。 一方、合理的な理由なく一方の共有者へ 持分相当額を超える利益を移転すると、 贈与税などが問題になる可能性があります。 分配理由と金額の根拠を明確にしておくことが重要です。
共有不動産を売却するときの税金チェックリスト
| 確認項目 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 持分割合 | 各共有者が何%所有しているか |
| 売却収入 | 各共有者の持分に対応する売却収入 |
| 取得原因 | 売買・相続・贈与など、どのように取得したか |
| 取得時期 | 長期・短期譲渡所得の判定に必要 |
| 取得費 | 購入価格・取得時の費用・建物の減価償却など |
| 譲渡費用 | 仲介手数料など売却のために直接かかった費用 |
| 居住状況 | マイホームに関する特例を利用できるか |
| 相続税 | 取得費加算の特例を利用できる可能性があるか |
| 相続空き家 | 被相続人の居住用財産に関する特例を利用できるか |
| 確定申告 | 各共有者について申告が必要か |
同じ不動産を同じ日に売却しても、 ・持分割合
・取得時期
・取得費
・居住状況
・利用できる特例 などが違えば、 共有者ごとの税額が異なる可能性があります。 「不動産全体で税金はいくら?」 だけではなく、 「自分の持分について税金はいくら?」 と考えることが重要です。
まとめ|共有不動産の税金は共有者ごとに計算する
共有不動産を売却した場合、 譲渡所得は原則として各共有者ごとに計算します。
共有者全員が一つの売買契約書で 不動産全体を売却したとしても、 税金まで一人の代表者へまとめられるわけではありません。
各共有者について、
- 持分に対応する売却収入
- 取得費
- 譲渡費用
- 所有期間
- 利用できる特例
を整理します。
基本的な譲渡所得の考え方は、
譲渡所得 = 売却収入 −(取得費 + 譲渡費用)
です。
一定の特別控除を利用できる場合には、 さらにその控除を考慮します。
また、 土地・建物の譲渡所得では、 売却した年の1月1日時点の所有期間によって 長期譲渡所得・短期譲渡所得に区分されます。
一般的な税率の目安は、
- 長期譲渡所得:約20.315%
- 短期譲渡所得:約39.63%
です。
相続した不動産では、 原則として被相続人の取得時期を引き継いで 所有期間を判定します。
取得費についても、 原則として被相続人の取得費を引き継ぐため、 購入当時の売買契約書や領収書などを 探しておくことが重要です。
実際の取得費が分からない場合には、 一定の場合に 売却代金の5%相当額を概算取得費として 計算する方法があります。
一方、 共有不動産では、 同じ持分割合でも 最終的な税額が同じになるとは限りません。
たとえば、 一人だけがその不動産に住んでいた場合には、 居住用財産の特例について 共有者ごとに適用可否が異なる可能性があります。
また、 相続不動産では、
- 相続空き家に関する特例
- 相続税の取得費加算の特例
などを利用できる場合があります。
そして、 住宅ローン残高と譲渡所得の計算は別 という点にも注意が必要です。
売却代金から住宅ローンを返済すると 手元に残る金額は減りますが、 ローン残高そのものを 当然に譲渡所得から差し引けるわけではありません。
同様に、 共有者間で行う、
- 固定資産税の精算
- 修繕費の精算
- 住宅ローン負担の精算
- 家賃収入の精算
と、 税務上の譲渡所得計算も 分けて確認することが重要です。
共有不動産を売却するときは、 不動産全体の売却価格だけで税金を判断せず、 各共有者について持分・取得費・所有期間・譲渡費用・利用できる特例を整理し、 売却前から税額の目安を確認しておくことが重要です。



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