一つの不動産を複数人で所有する 「共有名義」では、 単独所有とは違ったトラブルが起こることがあります。
特に相続によって兄弟・親族で共有になった不動産では、
- 売りたい人と売りたくない人がいる
- 一人だけが住んでいる
- 固定資産税や修繕費の負担でもめる
- 共有者と連絡が取れない
- 相続によって共有者が増え続ける
などの問題が発生することがあります。
共有不動産のトラブルを放置すると、 共有者がさらに増えたり、 不動産の売却や管理が難しくなったりする可能性があります。
この記事では、 共有名義の不動産でよくある7つのトラブルと、 それぞれの原因・解決方法をわかりやすく解説します。
共有名義の不動産でトラブルが起こりやすい理由
共有名義の不動産では、 複数の人が同じ不動産について所有権を持っています。
そのため、 一人の希望だけですべてを決められるとは限りません。
たとえば、
- Aは売却したい
- Bは住み続けたい
- Cは何もしたくない
というように、 共有者ごとに考え方が異なることがあります。
特に不動産全体の売却では、 原則として共有者全員の協力が必要になるため、 一人でも反対すると売却が進まないことがあります。
一方、 自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。
共有名義でよくあるトラブル7選
トラブル① 不動産を売りたいのに共有者が反対する
共有不動産で特に多いのが、 売却について意見が合わないケースです。
たとえば、
「自分は売って現金化したいが、兄弟は実家を残したい」
という状況です。
不動産全体を売却するには、 原則として共有者全員の協力が必要です。
そのため、 他の共有者が反対している場合には、 自分一人だけで不動産全体を売却することはできません。
解決方法としては、
- 他の共有者に自分の持分を買ってもらう
- 自分が相手の持分を買う
- 自分の共有持分だけを第三者へ売却する
- 共有状態そのものを解消する方法を検討する
などがあります。
トラブル② 共有者の一人だけが住んでいる
相続した実家などで、 共有者の一人だけが長期間住み続けているケースがあります。
他の共有者からすると、
「自分も持分を持っているのに何も利用できていない」
と不満を感じることがあります。
一方、 居住している共有者は、
「昔から自分が住んでいる」
と考えている場合もあります。
このようなケースでは、 利用状況やこれまでの合意、 費用負担などを整理したうえで 今後の利用方法を話し合う必要があります。
トラブル③ 固定資産税を一人だけが払っている
共有不動産では、 固定資産税の納税通知書が 代表者など一人へ届いていることがあります。
その人が毎年全額を支払い、 他の共有者が負担していないことで トラブルになるケースがあります。
共有者間の費用負担については、 持分割合やこれまでの合意などを確認しながら整理する必要があります。
誰がいつ、いくら支払ったのか 記録を残しておくことも重要です。
トラブル④ 修繕費を誰が払うかでもめる
建物が老朽化すると、
- 雨漏り
- 屋根の修繕
- 外壁補修
- 設備交換
などが必要になることがあります。
その際、
「自分は住んでいないから払いたくない」
という共有者と、
「共有者なのだから負担してほしい」
という共有者の間でもめることがあります。
工事内容や必要性、 持分割合、 共有者間の合意などを確認して整理することが重要です。
トラブル⑤ 共有者と連絡が取れない
共有者と何年も連絡を取っておらず、 現在の住所や電話番号が分からないケースがあります。
共有者と連絡が取れないと、 不動産全体の売却や重要な話し合いを進めることが難しくなります。
ただし、 自分の共有持分だけを売却する場合には、 原則として他の共有者全員の同意を得る必要はありません。
そのため、 不動産全体の売却が難しい場合でも、 自分の持分だけを整理する方法を検討できます。
トラブル⑥ 相続によって共有者が増え続ける
共有不動産では、 共有者の一人が亡くなると、 その持分が相続人へ引き継がれることがあります。
たとえば、 最初は兄弟2人の共有だったとしても、 それぞれに複数の相続人がいれば、 相続が繰り返されることで共有者が増えていく可能性があります。
共有者が増えると、
- 全員の連絡先を把握しにくい
- 売却について全員で合意しにくい
- 費用負担の整理が難しい
- 相続登記が複雑になる
などの問題が起こりやすくなります。
そのため、 共有者が少ないうちに 今後の不動産の扱いについて話し合うことも重要です。
トラブル⑦ 共有物分割請求をされる
共有者の一人が、
「これ以上、共有状態を続けたくない」
と考えた場合には、 共有物分割を求めることがあります。
まず共有者同士で 共有状態をどのように解消するか協議します。
しかし、 話し合いでまとまらない場合には、 裁判所で共有物分割請求を行う可能性があります。
共有物分割では、 不動産の状況などに応じて、
- 現物で分ける
- 一方が取得して他方へ金銭を支払う
- 売却・換価して代金を分ける
などの方法が検討されます。
共有物分割請求をされたからといって、 その時点ですぐに不動産を失うわけではありません。
まず相手が何を求めているのか、 自分は不動産を残したいのか、 売却して共有関係から離れたいのかを整理することが重要です。
7つの共有トラブルを比較
| トラブル | 主な原因 | 主な対応 |
|---|---|---|
| 売却に反対される | 共有者ごとに方針が違う | 持分売買・持分単独売却等を検討 |
| 一人だけが居住 | 利用状況への不公平感 | 利用方法・費用等を整理 |
| 固定資産税でもめる | 一人だけが支払っている | 支払状況・負担関係を整理 |
| 修繕費でもめる | 工事・費用負担への意見の違い | 必要性・負担方法を確認 |
| 連絡が取れない | 住所不明・疎遠など | 所在確認・持分単独売却等を検討 |
| 共有者が増える | 相続の繰り返し | 早期の共有関係整理を検討 |
| 共有物分割請求 | 共有状態を解消したい | 協議・持分売買・分割等を検討 |
共有トラブルが起きたら最初にすること
まず登記事項証明書で、
- 現在の共有者
- それぞれの持分割合
- 抵当権
- 差押え
- その他の権利関係
を確認します。
「誰がどの権利を持っているのか」を 正確に把握することが出発点です。
誰が住んでいるのか、 賃貸しているのか、 空き家なのかなど、 現在の利用状況を確認します。
固定資産税や修繕費などについて、
- 誰が支払ったのか
- いくら支払ったのか
- 共有者間でどのような合意があったのか
を確認します。
共有トラブルを解決するときには、 自分の希望を明確にすることも重要です。
たとえば、
- 不動産を残したい
- 不動産全体を売りたい
- 自分の持分だけ売りたい
- 他の共有者の持分を買いたい
- 共有関係から完全に離れたい
などです。
自分の希望と共有状況をもとに、 持分売買・不動産全体の売却・共有物分割などを比較します。
共有トラブルを解決する主な5つの方法
① 共有者同士で話し合う
共有者同士で話し合える状態であれば、 まず今後の方針について協議する方法があります。
話し合う内容は、
- 今後誰が利用するのか
- 不動産を売却するのか
- 費用をどう負担するのか
- 共有状態を解消するのか
などです。
② 自分の持分を他の共有者へ売却する
他の共有者に購入意思があれば、 自分の共有持分を買い取ってもらう方法があります。
売却する側は共有関係から離れることができ、 購入する側は持分割合を増やすことができます。
③ 他の共有者の持分を買い取る
自分が不動産を残したい場合には、 他の共有者の持分を取得する方法があります。
すべての持分を取得できれば、 単独所有にすることも可能です。
④ 自分の共有持分だけを第三者へ売却する
他の共有者と話し合いができない場合でも、 自分が所有する共有持分だけなら、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。
自分だけ共有関係から離れたい場合に 検討できる方法です。
⑤ 共有物分割によって共有状態を解消する
話し合いで共有状態を解消できない場合には、 共有物分割を検討することがあります。
協議でまとまらなければ、 裁判所での共有物分割請求へ進む可能性があります。
トラブルを放置するとどうなる?
共有者がさらに増える可能性がある
共有者の一人が亡くなれば、 その持分が相続人へ引き継がれることがあります。
その結果、 現在よりさらに共有者が増える可能性があります。
不動産全体の売却が難しくなることがある
共有者が増えれば、 不動産全体を売却するときに 協力を求める相手も増えます。
連絡が取れない人や 売却に反対する人が出てくる可能性もあります。
費用負担の問題が積み重なる
固定資産税や修繕費などについて 精算しないまま年月が経つと、 誰がいくら負担したのか分かりにくくなる場合があります。
建物の老朽化が進む
修繕について意見がまとまらないまま放置すると、 建物の劣化が進む可能性があります。
共有物分割請求へ発展する可能性がある
共有者の一人が共有状態に耐えられなくなり、 共有物分割を求める可能性もあります。
共有トラブルは、 時間が経てば自然に解決するとは限りません。 相続によって共有者が増えたり、 費用関係が複雑になったりすることもあります。 問題が小さいうちに、 今後の共有関係をどうするか整理することが重要です。
共有者と直接話したくない場合は?
共有トラブルが長期間続いていると、
「もう共有者とは話したくない」
という状態になることもあります。
不動産全体を売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。
一方、 自分の共有持分だけを売却する場合には、 原則として他の共有者全員の同意は必要ありません。
そのため、 自分だけ共有関係から離れることを希望する場合には、 持分単独売却を検討できます。
共有名義のトラブルでよくある質問
Q. 共有者が売却に反対していたら不動産は売れませんか?
不動産全体を売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。 一方、自分の共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。
Q. 共有者と連絡が取れなくても自分の持分を売れますか?
自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として他の共有者全員の同意を得ずに売却できます。 ただし、個別の登記や権利関係について確認が必要な場合があります。
Q. 一人だけ住んでいる共有者をすぐ追い出せますか?
共有者自身も共有物について権利を持っているため、 単に他の共有者であるという理由だけで 直ちに退去させられるとは限りません。 利用状況や合意内容などを確認して個別に対応する必要があります。
Q. 固定資産税を自分だけ払っています。どうすればいいですか?
誰がどの期間にいくら支払ったのか記録を整理し、 共有者間の負担関係を確認することが重要です。 具体的な請求の可否や範囲について争いがある場合には、 専門家への相談も検討しましょう。
Q. 共有者が増えすぎた場合でも持分を売却できますか?
自分が所有している共有持分であれば、 共有者が多数いる場合でも売却を検討できます。 ただし、共有者数や持分割合などは査定へ影響する可能性があります。
Q. 共有物分割請求されたら必ず競売になりますか?
必ず競売になるわけではありません。 共有者間の協議で解決する場合もあります。 協議でまとまらず裁判へ進んだ場合には、 不動産の状況などに応じて分割方法が判断されます。
まとめ|共有トラブルは早めに共有関係を整理することが重要
共有名義の不動産では、
- 売却に反対される
- 一人だけが住んでいる
- 固定資産税の負担でもめる
- 修繕費でもめる
- 共有者と連絡が取れない
- 相続によって共有者が増える
- 共有物分割請求をされる
といったトラブルが起こることがあります。
問題を解決する方法としては、
- 共有者同士で話し合う
- 自分の持分を他の共有者へ売る
- 他の共有者の持分を買う
- 自分の持分だけ第三者へ売る
- 共有物分割によって共有状態を解消する
などがあります。
特に注意したいのは、 共有問題を長期間放置すると、 相続によって共有者がさらに増え、 権利関係が今より複雑になる可能性があること です。
共有不動産について問題が起きている場合には、 まず現在の登記・持分割合・利用状況・費用負担を整理し、 自分が今後どうしたいのかを明確にしましょう。
そのうえで、 不動産を残すのか、 全体を売却するのか、 自分の共有持分だけを売却して共有関係から離れるのかを 比較して判断することが重要です。



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