共有名義の不動産について調べたところ、 共有者の一人がすでに死亡していた というケースがあります。
特に相続登記が長期間行われていない不動産では、 登記簿上は亡くなった方の名義が残っていることがあります。
この場合、 亡くなった共有者の持分が消滅するわけではありません。
原則として、 死亡した共有者の持分は相続人へ承継されます。
そのため、 不動産全体を売却する場合には、 死亡した共有者の相続人を確認し、 必要な相続登記を行ったうえで 売却手続きを進める必要があります。
一方、 自分自身がすでに登記上所有している共有持分だけを売却する場合には、 他の共有者が死亡しているという理由だけで 当然に売却できなくなるわけではありません。
この記事では、 共有者が死亡している不動産の売却方法、 相続人の確認、 相続登記が未了の場合の対応、 自分の持分だけを売却する方法まで解説します。
- 共有者が死亡すると持分はどうなる?
- 共有者が死亡している状態で不動産全体を売却できる?
- 亡くなった共有者の持分を他の共有者が勝手に売れる?
- 自分の共有持分だけなら売却できる?
- まず死亡した共有者の相続人を確認する
- 相続人が分からない・多すぎる場合
- 相続登記が未了の場合はどうする?
- 相続登記は義務化されている
- 遺産分割協議がまとまっていない場合
- 相続人の一人と連絡が取れない場合
- 相続人が海外在住・外国籍の場合
- 共有者が死亡している場合の売却方法を比較
- 自分の共有持分だけを売却する流れ
- 共有者の死亡を長期間放置するとどうなる?
- 相続人が相続放棄している場合は?
- 相続人が誰もいない場合は?
- 死亡した共有者が外国籍だった場合
- 共有者が死亡している場合に避けたいこと
- 共有者が死亡している場合によくある質問
- まとめ|共有者が死亡していたら相続関係を確認する
共有者が死亡すると持分はどうなる?
共有者が死亡しても、 その人が所有していた共有持分が 自動的に他の共有者へ移るわけではありません。
死亡した人の持分は、 原則として相続財産になります。
たとえば、
- A:1/2
- B:1/2
という共有状態でBが死亡した場合、 Bの1/2持分について相続が発生します。
Bに複数の相続人がいる場合には、 遺産分割が成立するまでの間、 その持分が相続人間で共有状態になることもあります。
共有者が死亡している状態で不動産全体を売却できる?
不動産全体を売却するためには、 現在その不動産について権利を持っている人を確認する必要があります。
死亡した共有者の名義が登記に残っている場合には、 その人本人から売却の意思確認をすることはできません。
そのため、
- 誰が相続人なのか
- 遺言書があるか
- 遺産分割協議が成立しているか
- 誰がその共有持分を取得するのか
などを確認し、 必要な相続登記を行ったうえで 不動産全体の売却を進めることになります。
亡くなった共有者の持分を他の共有者が勝手に売れる?
原則としてできません。
たとえばAとBが1/2ずつ所有していてBが死亡したからといって、 AがBの1/2持分まで自分の判断だけで売却できるわけではありません。
Bの持分については、 Bの相続関係を確認する必要があります。
Aが原則として自由に処分できるのは、 A自身が所有している1/2持分です。
共有者が死亡している場合は、 「亡くなった共有者の持分」 と 「自分自身の共有持分」 を分けて考えることが重要です。
自分の共有持分だけなら売却できる?
自分自身がすでに所有者として登記されている共有持分については、 他の共有者が死亡しているという事情だけで 当然に売却できなくなるわけではありません。
たとえば、
- A:1/2
- B:1/2(死亡・相続登記未了)
という状態でも、 A自身の1/2持分については 売却を検討できます。
ただし、 買主は購入後、 Bの相続人側と共有関係になる可能性があります。
そのため、 死亡した共有者の相続状況は 持分査定へ影響することがあります。
まず死亡した共有者の相続人を確認する
不動産全体を売却したい場合には、 死亡した共有者の相続人を確認することが重要です。
一般的には、 戸籍関係書類などを確認して 相続人を特定していきます。
確認する範囲は、
- 配偶者がいるか
- 子がいるか
- 子が先に死亡している場合の代襲相続人
- 直系尊属
- 兄弟姉妹やその代襲相続人
など、 相続関係によって異なります。
古い相続では、 必要な戸籍の収集だけでも時間がかかることがあります。
相続人が分からない・多すぎる場合
何十年も相続登記がされていない不動産では、 一人の共有者の死亡から さらに次の相続が発生していることがあります。
たとえば、
共有者死亡 → 子3人が相続 → そのうち1人死亡 → さらにその子が相続
というように、 相続が何世代にもわたっているケースです。
このような場合、 現在の相続人が多数になる可能性があります。
不動産全体を通常の売買で売却するためには、 現在の権利関係を整理する必要があります。
相続登記が未了の場合はどうする?
死亡した共有者の名義が登記に残っている場合には、 実際にその持分を売却するために 相続登記が必要になります。
相続登記では、 相続関係に応じて、
- 戸籍関係書類
- 住民票・戸籍の附票等
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 印鑑証明書
- その他必要な書類
などを準備します。
どの書類が必要になるかは、 法定相続なのか、 遺産分割なのか、 遺言があるのかなどによって異なります。
相続登記は義務化されている
相続登記については、 2024年4月1日から申請が義務化されています。
原則として、 不動産を相続したことを知った日から3年以内に 相続登記の申請が必要です。
また、 2024年4月1日より前に発生した相続についても 義務化の対象となるため、 古い相続だからそのままでよいとは限りません。
正当な理由なく義務に違反した場合には、 過料の対象になる可能性があります。
遺産分割協議がまとまっていない場合
死亡した共有者に複数の相続人がいて、 誰がその持分を取得するのか決まっていない場合があります。
この場合、 死亡した共有者の持分について 遺産分割協議を行う方法があります。
たとえば、
- 相続人の一人が持分全部を取得する
- 複数の相続人で持分を取得する
- 他の財産との調整によって取得者を決める
など、 相続人同士で協議します。
遺産分割協議がまとまらない場合には、 家庭裁判所での遺産分割調停・審判などを 検討することがあります。
一方、 他の共有者側がすでに所有している自分自身の持分まで、 遺産分割協議が終わるまで絶対に売却できないというわけではありません。
相続人の一人と連絡が取れない場合
死亡した共有者の相続人は判明したものの、 そのうち一人と連絡が取れないケースがあります。
この場合、 遺産分割協議を成立させるためには、 原則として相続人全員で協議する必要があります。
そのため、 まず現在の住所や所在を確認する必要があります。
単に疎遠になっているだけなのか、 本当に所在が分からないのかによっても 必要な対応は異なります。
相続人が海外在住・外国籍の場合
死亡した共有者の相続人が 海外に住んでいるケースもあります。
また、 死亡した共有者自身が外国籍だったり、 相続人が外国籍だったりする場合もあります。
このようなケースでも、 必要な相続関係を確認し、 本人確認・意思確認・登記に必要な書類を準備できれば、 手続きを進められる場合があります。
ただし、
- 国籍
- 居住国
- 適用される相続法
- 相続関係を証明する外国の書類
- 住所・署名を証明する書類
- 日本語訳の必要性
などを個別に確認する必要があります。
国内相続より複雑になりやすいため、 司法書士・弁護士などへ早めに確認することが重要です。
共有者が死亡している場合の売却方法を比較
| 売却方法 | 死亡共有者側の手続き | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 不動産全体を売却 | 相続人確認・相続登記等が必要 | 現在の権利者を整理して全体を売却 |
| 相続人に自分の持分を売却 | 相手方との合意が必要 | 共有関係を相続人側へ集約できる場合あり |
| 自分の持分だけ第三者へ売却 | 原則として死亡共有者側の売却同意は不要 | 自分だけ共有関係から離れられる |
| 専門業者へ自分の持分を売却 | 原則として死亡共有者側の売却同意は不要 | 相続未了の共有者がいる状態でも相談できる場合あり |
自分の共有持分だけを売却する流れ
まず登記事項証明書で、 自分の持分割合と 死亡した共有者の名義が現在も残っているか確認します。
死亡した共有者について、
- 死亡した時期
- 相続人が分かっているか
- 相続人の人数
- 遺産分割が済んでいるか
- 相続登記がされているか
などを整理します。
不動産全体ではなく、 自分がすでに所有している共有持分だけを 売却した場合の価格を確認します。
査定額だけではなく、
- 最終的な売買価格
- 必要書類
- 決済時期
- 売主負担の費用
- 売却後の対応
を確認します。
条件に納得できれば売買契約を締結し、 決済と所有権移転登記を行います。
自分の共有持分全部を売却すれば、 原則として自分は共有関係から離れることになります。
共有者の死亡を長期間放置するとどうなる?
数次相続が発生する可能性がある
死亡した共有者の相続登記をしないまま、 その相続人まで死亡すると、 次の相続が発生します。
このように相続が何世代にも重なると、 現在の権利者を特定するための調査が より複雑になる可能性があります。
共有者が大幅に増える可能性がある
一人の共有者が死亡して、 その持分を複数の相続人が承継すると、 共有者数が増えることがあります。
さらに次の相続が発生すれば、 10人、20人以上の共有関係になるケースもあります。
不動産全体の売却が難しくなる可能性がある
通常の方法で不動産全体を売却する場合には、 原則として現在の共有者全員の協力が必要です。
共有者が増えるほど、 売却条件の合意や必要書類の準備が 複雑になる可能性があります。
連絡が取れない相続人が出てくる可能性がある
相続人が増えると、
- 長年疎遠になっている
- 住所が分からない
- 海外へ移住している
人が含まれる可能性も高くなります。
死亡した共有者の名義を長期間放置すると、 ・数次相続が発生する
・共有者が増える
・戸籍収集が複雑になる
・連絡が取れない相続人が出る
・全体売却が難しくなる 可能性があります。 将来的に売却する予定がある場合には、 早めに現在の相続関係を確認することが重要です。
相続人が相続放棄している場合は?
死亡した共有者の相続人が 相続放棄をしているケースもあります。
相続放棄をした人は、 原則としてその相続について 初めから相続人ではなかったものとして扱われます。
その結果、 次順位の相続人が相続人になる場合があります。
そのため、
「子ども全員が相続放棄したから持分の所有者はいない」
と単純に判断することはできません。
相続放棄の有無と、 その後誰が相続人になるのかを確認する必要があります。
相続人が誰もいない場合は?
戸籍等を調査しても法定相続人が存在しない場合や、 相続人全員が相続放棄した結果、 相続する人がいない状態になることがあります。
このような場合には、 相続財産清算人の選任など、 通常の相続とは異なる手続きが必要になることがあります。
他の共有者がいるからといって、 死亡した共有者の持分が直ちに 他の共有者へ移るとは限りません。
具体的な権利関係については、 弁護士・司法書士などへ確認することが重要です。
死亡した共有者が外国籍だった場合
死亡した共有者が外国籍の場合には、 どの国の法律が相続に適用されるかを 確認する必要があります。
また、 日本の戸籍だけでは相続関係を証明できないことがあり、 外国で発行される公的書類などが必要になる場合があります。
外国語の書類については、 日本語訳が必要になるケースもあります。
このような国際相続では、 国内相続とは必要書類や確認事項が異なるため、 専門家へ早めに相談するとよいでしょう。
共有者が死亡している場合に避けたいこと
死亡した共有者の持分を勝手に売却する
共有者が死亡していても、 その人の持分を他の共有者が 自由に第三者へ売却できるわけではありません。
死亡した共有者の持分については、 相続関係を確認する必要があります。
相続人を一部だけ確認して手続きを進める
遺産分割協議が必要なケースでは、 一部の相続人だけで進めても 有効な遺産分割協議にならない可能性があります。
まず相続人を正確に確認することが重要です。
相続登記を何年も放置する
時間が経つほど数次相続が発生し、 権利関係が複雑になる可能性があります。
自分の持分まで売却できないと思い込む
死亡した共有者側の相続手続きが終わっていないことと、 自分自身がすでに登記上所有している持分を売却することは 分けて考える必要があります。
共有者が死亡している場合によくある質問
Q. 共有者が死亡したらその持分は他の共有者のものになりますか?
原則として自動的に他の共有者のものになるわけではありません。 死亡した共有者の持分は相続財産となり、 相続関係に応じて承継されます。
Q. 亡くなった人の名義のまま不動産全体を売れますか?
死亡した本人は売却手続きを行えないため、 その持分について相続人を確認し、 必要な相続登記を行ったうえで 不動産全体の売却を進めることになります。
Q. 他の共有者の相続登記が未了でも自分の持分だけ売れますか?
自分自身がすでに登記上所有している共有持分であれば、 他の共有者側の相続登記が未了という事情だけで 当然に売却できなくなるわけではありません。 ただし、共有状態は査定や売却条件へ影響する可能性があります。
Q. 相続人が何十人もいても不動産は売れますか?
売却自体が不可能になるとは限りませんが、 不動産全体を通常の方法で売却するには 現在の権利関係を整理し、 原則として必要な共有者全員の協力を得る必要があります。
Q. 相続人と連絡が取れない場合はどうしますか?
まず現在の所在を確認する必要があります。 調査しても所在が分からない場合には、 具体的な状況に応じて利用できる法的制度を 弁護士などへ確認することが重要です。
Q. 相続人が全員相続放棄していたらどうなりますか?
先順位の相続人が相続放棄すると、 次順位の相続人が相続人になる場合があります。 最終的に相続人が存在しない場合には、 相続財産清算人など別の手続きが必要になる可能性があります。
まとめ|共有者が死亡していたら相続関係を確認する
共有者が死亡しても、 その共有持分が自動的に他の共有者へ移るわけではありません。
死亡した共有者の持分は原則として相続財産となるため、 不動産全体を売却する場合には、
- 死亡した共有者の相続人
- 遺言の有無
- 遺産分割の状況
- 相続登記の状況
- 数次相続の有無
などを確認します。
相続登記が長期間行われていない場合には、 その間にさらに相続が発生し、 現在の相続人・共有者が増えている可能性もあります。
そのため、 古い名義が残っている不動産ほど、 早めに現在の権利関係を確認することが重要です。
一方、 自分自身がすでに登記上所有している共有持分だけを売却する場合には、 他の共有者が死亡していることや、 その相続登記が未了であることだけを理由に、 当然に売却できなくなるわけではありません。
不動産全体の売却が難しい場合には、 自分の共有持分だけを売却して 共有関係から離れる方法も検討できます。
まず現在の登記を確認し、 死亡した共有者の相続関係と 自分自身の共有持分を分けて整理したうえで、 不動産全体を売却するのか、 自分の持分だけを売却するのかを判断することが重要です。



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