競売開始決定後でも共有持分は売却できる?任意売却と競売の違いを解説

共有持分の売却・買取

共有持分が差し押さえられ、 裁判所から競売開始決定が出てしまった場合でも、 状況によっては任意売却を検討できるケースがあります。

競売開始決定が出ると、

「もう自分では売却できない?」
「競売が終わるまで何もできない?」

と考えてしまう方もいるでしょう。

しかし、 競売開始決定後でも、競売が完了する前であれば、 債権者との調整によって任意売却を成立させられる可能性があります。

ただし、 売却を検討しているだけで 競売手続きが自動的に止まるわけではありません。

任意売却を成立させるためには、 抵当権者・差押債権者などと調整し、 必要な差押え解除や競売申立ての取下げなどを 期限までに整える必要があります。

この記事では、 競売開始決定後の共有持分売却、 任意売却と競売の違い、 債権者との調整、 他の共有者への影響まで解説します。

競売開始決定後でも共有持分は売却できる?

競売開始決定後でも、 任意売却を検討できるケースがあります。

ただし、 競売開始決定が出ているということは、 すでに裁判所の競売手続きが進行している状態です。

そのため、 通常の不動産売却と同じように、 時間をかけて買主を探せるとは限りません。

買主を見つけ、 債権者との調整を行い、 差押え・抵当権などを処理し、 競売手続きが完了する前に 決済できる状態を整える必要があります。

重要

競売開始決定後でも 「任意売却を検討できる」場合はあります。 ただし、 「任意売却を検討している=競売が止まる」 ではありません。 競売手続きと並行して、 早急に売却・債権者調整を進める必要があります。

競売開始決定とは?

債権者が不動産競売を申し立て、 裁判所が申立てを認めると、 競売開始決定が出されます。

その後、 対象となる不動産や共有持分に 差押えの登記がされ、 競売手続きが進行します。

競売では、 最終的に入札によって買受人が決まり、 代金納付などの手続きを経て 所有権が移転します。

共有持分だけが競売になることはある?

あります。

たとえば、

  • A:1/2
  • B:1/2

で不動産を共有していて、 Aだけに個人的な債務があり、 Aの持分だけが差し押さえられた場合には、 Aの1/2持分だけが競売対象になることがあります。

この場合、 B自身が債務者ではなく、 Bの持分が担保・差押えの対象にもなっていなければ、 Aの個人的な債務だけを理由として 当然にBの1/2持分まで競売されるわけではありません。

持分競売が成立するとどうなる?

Aの1/2持分だけが競売され、 第三者Cが落札した場合には、

  • C:1/2
  • B:1/2

という共有状態になります。

つまり、 残った共有者Bは、 今までの共有者Aではなく 競売で落札した第三者Cと 共有関係になる可能性があります。

その後、 新しい共有者から、

  • 持分の売買
  • 不動産全体の売却
  • 利用方法の協議
  • 共有物分割

などを求められる可能性があります。

任意売却とは?

任意売却とは、 住宅ローンや差押債権などを 売却代金だけではすべて完済できない場合などに、 債権者と調整しながら 競売ではなく通常の売買に近い形で 不動産を売却する方法です。

任意売却では、 債権者が抵当権抹消や 差押え解除・競売取下げなどに応じる条件を 調整する必要があります。

所有者だけの判断で、 抵当権や差押えを自由に消せるわけではありません。

任意売却と競売の違い

項目 任意売却 競売
売却方法 通常売買に近い方法 裁判所の手続きによる売却
買主 所有者側で探す 入札によって決定
価格 買主との交渉で決定 入札結果で決定
債権者 解除・抹消等の調整が必要 競売手続きにより配当
時間 競売期限を意識して進める 裁判所のスケジュールで進行
売主の自由度 一定の交渉余地あり 任意売却より限定される

競売より任意売却を検討するメリット

買主を自分で探せる

任意売却では、 競売のように入札だけで買主が決まるのではなく、 通常の不動産売買に近い形で買主を探します。

売却条件を調整できる余地がある

売買価格や決済日などについて、 買主や債権者と調整できる余地があります。

競売になる前に共有関係を整理できる可能性がある

共有持分だけが競売されると、 知らない第三者が共有者になる可能性があります。

任意売却であれば、 競売が完了する前に 売却先や条件を調整できる可能性があります。

競売開始決定後でも売却可能性を確認

競売の進行状況・債権額・共有持分価格を確認しながら、 任意売却できる可能性を早急に確認できます。

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競売開始決定後にまず確認すること

① 競売の対象

不動産全体が競売対象なのか、 自分の共有持分だけなのかを確認します。

共有不動産では、 この違いが非常に重要です。

② 競売事件の進行状況

競売開始決定が出た後、 どこまで手続きが進んでいるのか確認します。

任意売却に使える時間を把握するためにも重要です。

③ 抵当権者・差押債権者

登記事項証明書などから、 売却に関係する債権者を確認します。

④ 現在の債権額

登記簿に記載されている債権額だけではなく、 現在実際にいくら残っているのか確認します。

確認する主な債務は、

  • 住宅ローン残高
  • 差押債権額
  • 税金の滞納額
  • その他の担保付債権

などです。

⑤ 共有持分の売却価格

現在の共有状態・抵当権・差押え・競売の状況を前提として、 共有持分を任意売却した場合に いくらで売却できる可能性があるのか確認します。

売却価格が分からなければ、 債権者へどの程度の金額を配分できるのかも判断できません。

⑥ 競売を取り下げるための条件

任意売却を成立させるには、 売却に必要な抵当権抹消・差押え解除などに加えて、 競売を申し立てた債権者との調整が重要です。

競売の進行段階によっては、 任意売却を成立させるために 非常に限られた期間しか残っていない場合があります。

競売開始決定後に確認する6項目

1. 競売対象は全体か持分だけか
2. 競売はどこまで進んでいるか
3. 債権者は誰か
4. 現在の債権額はいくらか
5. 共有持分はいくらで売れるか
6. 競売取下げ・差押え解除等の条件は何か この6つをできるだけ早く整理することが重要です。

抵当権が付いている場合はどうする?

競売対象の共有持分に 住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合には、 抵当権者との調整が必要になります。

売却代金などで債務を完済できるのであれば、 決済時に返済して抵当権を抹消する方法を検討できます。

一方、 売却価格よりローン残高の方が多く、 完済できない場合には、 抵当権者がどのような条件で 抵当権抹消に応じるのか確認する必要があります。

差押えが複数ある場合はどうする?

一つの共有持分について、 複数の債権者から差押えが入っている場合があります。

たとえば、

  • 銀行の抵当権
  • 一般債権者A社の差押え
  • 一般債権者B社の差押え
  • 税金滞納による差押え

などです。

この場合、 一つの債権だけを支払えば 必ず任意売却できるとは限りません。

任意売却を成立させるために必要な 抵当権抹消・差押え解除等について、 関係する債権者を整理する必要があります。

売却代金ですべての債務を完済できない場合には、 各債権者との配分や解除条件について 個別の調整が必要になることがあります。

任意売却で債務を全額返済できない場合

任意売却では、 売却価格より債務総額の方が大きく、 売却代金だけでは完済できないケースがあります。

この場合、 売却したからといって残った債務が自動的に消えるわけではありません。

売却後に残る債務については、 債権者との間で返済方法などを確認する必要があります。

そのため、 任意売却を検討するときには、

  • 売却価格
  • 債務総額
  • 売却代金の配分
  • 売却後に残る債務
  • 残債の返済方法

まで確認しておくことが重要です。

競売開始決定後の任意売却の流れ

STEP1|競売関係書類を確認

裁判所から届いた競売開始決定などを確認し、 競売事件番号や対象不動産を把握します。

STEP2|登記・債権者を確認

登記事項証明書などから、

  • 抵当権
  • 差押え
  • 競売開始決定
  • 共同担保

などの権利関係を確認します。

STEP3|現在の債務残高を確認

各債権者について、 現在いくらの債務が残っているのか確認します。

STEP4|共有持分を査定

競売・差押え・抵当権などの状況を前提として、 共有持分を任意売却した場合の価格を確認します。

STEP5|買主・売却条件を決める

買主候補と売買価格、 決済時期などを調整します。

競売が進行しているため、 決済可能な時期も重要になります。

STEP6|債権者と解除・取下げ条件を調整

売却代金の配分などを提示し、 抵当権抹消、 差押え解除、 競売申立ての取下げ等について 必要な調整を行います。

STEP7|売買契約・決済

必要な条件が整えば、 売買契約を締結して決済を行います。

決済時に必要な債権者への支払いと、 抵当権抹消・差押え解除等の手続きを進め、 買主への所有権移転登記を行います。

競売が進んでいてもまず現在地を確認

競売開始決定後は時間が重要です。 債権額・競売の進行状況・持分価格を整理し、 任意売却できる可能性を確認できます。

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他の共有者に競売の影響はある?

自分の共有持分だけが競売対象の場合、 他の共有者自身の持分まで 自分の個人的な債務だけを理由に 当然に競売されるわけではありません。

しかし、 自分の持分が第三者へ落札されれば、 残った共有者にとっては 新しい第三者が共有関係へ入ってくることになります。

そのため、 競売は他の共有者の所有権を 直接失わせるものではない場合でも、 今後の共有関係には大きな影響を与える可能性があります。

競売で第三者に落札された後はどうなる?

共有持分が第三者に落札されると、 その落札者が新しい共有者になります。

その後、 新しい共有者から、

  • 他の共有者への持分買取提案
  • 他の共有者の持分を売ってほしいという提案
  • 不動産全体の売却提案
  • 利用方法についての協議
  • 共有物分割請求

などが行われる可能性があります。

そのため、 競売が完了する前に任意売却できるかどうかは、 債務者本人だけではなく 残る共有者にとっても重要な問題になる場合があります。

競売開始決定後に避けたいこと

裁判所からの書類を放置する

競売開始決定後は、 裁判所の手続きが進行します。

書類を読まずに放置しても、 競売が止まるわけではありません。

任意売却を相談しただけで競売が止まったと思う

不動産会社や専門業者へ相談しただけでは、 競売手続きは停止しません。

実際に必要な債権者との調整を行い、 競売申立ての取下げなど 必要な手続きが完了する必要があります。

一つの債権者だけ見て判断する

複数の抵当権・差押えがある場合には、 一つの債権だけを解決しても 任意売却できない可能性があります。

売却価格だけで判断する

任意売却では、 単純な売却価格だけではなく、

  • 各債権者への配分
  • 抵当権抹消条件
  • 差押え解除条件
  • 競売取下げ
  • 売却後の残債

まで確認する必要があります。

時間をかけすぎる

通常の売却なら価格を比較しながら 時間をかけて検討できる場合があります。

しかし、 競売開始決定後は 裁判所の手続きが並行して進みます。

任意売却を希望する場合には、 早い段階で判断することが重要です。

競売開始決定後は「時間」が重要

任意売却を成立させるには、 ・買主を決める
・売却価格を決める
・債権額を確認する
・債権者と交渉する
・差押え等を解除する
・競売を取り下げてもらう
・決済する という複数の手続きを 競売が進む中で行う必要があります。

競売開始決定後によくある質問

Q. 競売開始決定が出たらもう売却できませんか?

競売開始決定後でも、 競売が完了する前であれば、 債権者との調整によって任意売却を検討できるケースがあります。 ただし、競売は並行して進むため早めの対応が必要です。

Q. 任意売却を始めれば競売は自動的に止まりますか?

止まりません。 任意売却を検討・開始しただけでは 裁判所の競売手続きは自動停止しません。 必要な債権者との調整を行い、 競売申立ての取下げなどの手続きが必要になります。

Q. 自分の持分だけが競売の場合、他の共有者の持分も失われますか?

自分の共有持分だけが競売対象であり、 他の共有者の持分が担保・差押えの対象になっていないのであれば、 自分の個人的な債務だけを理由として 当然に他の共有者の持分まで競売されるわけではありません。

Q. 売却代金で借金を全額返せなくても任意売却できますか?

債権者が抵当権抹消や差押え解除などに応じる条件を 調整できれば任意売却が成立するケースがあります。 ただし、売却後に残った債務が 自動的に消滅するわけではありません。

Q. 競売で売るのと任意売却ではどちらが高く売れますか?

個別の物件や入札状況によって異なるため、 必ず任意売却の方が高いとは言い切れません。 任意売却では通常売買に近い形で価格や条件を調整できる余地があるため、 競売の進行状況とあわせて比較することが重要です。

Q. 競売開始決定後でも共有持分だけ買い取ってもらえますか?

買主が見つかり、 必要な債権者との調整によって 差押え解除・抵当権抹消・競売取下げ等の条件を整えられれば、 持分単独で任意売却できる可能性があります。

競売開始決定後は早めに売却可能性を確認

競売が完了する前に、 共有持分の査定価格と債権額を確認し、 任意売却できる条件を整理します。

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まとめ|競売開始決定後でも任意売却できる可能性はある

共有持分について競売開始決定が出た後でも、 競売が完了する前であれば、 任意売却を検討できるケースがあります。

ただし、 競売開始決定が出ているということは、 すでに裁判所の競売手続きが進行している状態です。

そのため、 「任意売却を検討しているから大丈夫」 と考えて競売を放置するのは危険です。

任意売却を成立させるためには、 まず、

  • 競売の対象が不動産全体か共有持分だけか
  • 競売手続きがどこまで進んでいるか
  • 抵当権者・差押債権者は誰か
  • 現在の債務残高はいくらか
  • 共有持分はいくらで売却できるか
  • 抵当権抹消・差押え解除の条件
  • 競売申立ての取下げに必要な条件

などを確認する必要があります。

また、 複数の抵当権・差押えがある場合には、 一つの債権者だけと話をまとめても 任意売却を成立させられない可能性があります。

売却に関係する債権者を整理し、 売買代金をどのように配分するのか、 必要な権利を解除・抹消できるのかを まとめて確認することが重要です。

さらに、 売却代金ですべての債務を返済できない場合には、 任意売却後に残る債務についても 返済方法を確認する必要があります。

任意売却が成立したからといって、 残った借金が当然にすべて消えるわけではありません。

一方、 競売がそのまま進み、 自分の共有持分が第三者へ落札された場合には、 その落札者が新しい共有者になります。

その結果、 残った共有者との間で、

  • 持分売買
  • 不動産全体の売却
  • 利用方法の協議
  • 共有物分割請求

などの問題が生じる可能性があります。

競売開始決定後は「まだ売れるか」だけではなく、 「任意売却を成立させるために残された時間がどの程度あるか」を確認し、 競売の進行状況・債権額・持分価格・解除条件を早急に整理して、 任意売却と競売のどちらで進むのか判断することが重要です。

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