相続人の一人と連絡が取れない不動産は売却できる?所在不明・音信不通の場合の対処法

相続・共有トラブル

親が亡くなり、 兄弟・親族で不動産を相続することになったものの、 相続人の一人と連絡が取れない というケースがあります。

たとえば、

  • 何十年も会っていない兄弟がいる
  • 電話番号が分からない
  • 以前の住所から転居している
  • 手紙を送っても返事がない
  • 海外へ移住したまま連絡が取れない
  • 生きているのかどうかも分からない

というケースです。

このような場合、

「連絡が取れない人を除外して遺産分割できる?」
「残りの相続人だけで不動産を売却できる?」
「住所はどうやって調べる?」
「本当に行方不明ならどうすればいい?」

と疑問に思うでしょう。

結論からいうと、 相続人の一人と連絡が取れないという理由だけで、 その人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。

まず相続人の現在の住所や所在を確認し、 連絡を試みる必要があります。

それでも所在が分からない場合には、 状況に応じて、

  • 不在者財産管理人
  • 失踪宣告
  • 家庭裁判所での手続き

などを検討することがあります。

この記事では、 相続人の一人と連絡が取れない場合の調査方法、 遺産分割・不動産売却、 不在者財産管理人や失踪宣告、 共有持分を売却する方法まで解説します。

  1. 相続人と連絡が取れなくても無視して進めることはできない
  2. まず本当に相続人なのか確認する
  3. 住所が分からない相続人はどう探す?
  4. 住所が分かったらまず書面で連絡する
  5. 住所は分かるが返事がない場合
  6. 連絡を無視されている場合は遺産分割調停を検討
    1. 相続人との話し合いが難しい不動産でもご相談できます
  7. 本当に所在が分からない場合はどうする?
  8. 不在者財産管理人とは?
  9. 不在者財産管理人がいれば遺産分割できる?
  10. 不在者財産管理人の申立ては誰ができる?
  11. 不在者財産管理人には費用がかかる?
  12. 失踪宣告とは?
  13. 不在者財産管理人と失踪宣告の違い
  14. 相続人が海外にいるだけなら「所在不明」ではない
  15. 海外へ行ったまま住所も分からない場合
    1. 海外・所在不明の共有者がいる不動産でもご相談できます
  16. 遺産分割が終わるまで不動産は売却できない?
  17. すでに共有登記されている場合は?
  18. 連絡が取れない共有者がいても自分の持分は売却できる?
  19. 所在不明の共有者がいる場合の共有物分割
  20. 連絡が取れない相続人がいる場合の対処の流れ
    1. 音信不通の共有者がいて全体売却できない方へ
  21. 連絡が取れない相続人がいる場合に避けたいこと
    1. 勝手に相続人から除外する
    2. 残りの相続人だけで遺産分割協議書を作る
    3. 住所が分からないだけで失踪宣告を考える
    4. 相続不動産を長期間放置する
  22. 相続人と連絡が取れない不動産でよくある質問
    1. 連絡が取れない共有者がいる不動産も査定できます
  23. まとめ|「返事がない」と「所在不明」は分けて考える

相続人と連絡が取れなくても無視して進めることはできない

遺産分割協議は、 原則として相続人全員で行います。

そのため、 相続人の一人について、

「10年以上会っていないから除外しよう」

ということはできません。

また、 相続人が3人いて、 2人とは連絡が取れる場合でも、

「3人中2人がいるから多数決で決める」

こともできません。

まず、 遺産分割に参加すべき相続人を確認し、 その全員について 所在・連絡方法を確認することが必要です。

音信不通=相続権がなくなるわけではない

何年連絡を取っていなくても、 その人が相続人である以上、 「連絡が取れないから相続人ではない」 とはなりません。 まず現在の所在を確認するところから始めます。

まず本当に相続人なのか確認する

最初に行うのは、 相続人の確定です。

亡くなった人の戸籍関係書類を確認し、 誰が法定相続人になるのかを調べます。

この過程で、 家族が把握していなかった、

  • 前婚の子
  • 認知された子
  • すでに亡くなった子の子ども

などが確認されるケースもあります。

「家族が知っている相続人」ではなく、 法的に誰が相続人なのかを確認することが重要です。

住所が分からない相続人はどう探す?

相続人であることは分かっていても、 現在の住所が分からない場合があります。

この場合には、 戸籍や戸籍の附票など、 利用できる公的な資料をたどって 現在の住所を確認できるケースがあります。

戸籍の附票には、 その戸籍に在籍している期間の 住所履歴などが記録されています。

ただし、 請求できる人・必要書類などにはルールがあります。

具体的な取得方法については、 市区町村や司法書士などへ確認しましょう。

住所が分かったらまず書面で連絡する

住所が確認できた場合には、 いきなり法的手続きを行うのではなく、 まず遺産分割について 連絡を試みます。

手紙には、

  • 誰が亡くなったのか
  • 相続が発生していること
  • 対象となる不動産
  • 遺産分割について話し合いたいこと
  • 連絡先

などを分かりやすく記載します。

相手が相続の発生自体を 知らない可能性もあります。

住所は分かるが返事がない場合

住所へ手紙を送っても、 返事がないケースがあります。

この場合、

  • 手紙が届いているのか
  • 単に返事をしていないのか
  • 実際にはその住所に住んでいないのか

によって状況が異なります。

配達状況が確認できる方法で 書面を送ることなども検討します。

相手の所在は分かっているものの、 単に遺産分割協議を拒否している場合には、 所在不明者とは扱いが異なります。

連絡を無視されている場合は遺産分割調停を検討

相続人の住所・所在は分かっているものの、 遺産分割の話し合いに 一切応じてもらえない場合があります。

この場合には、 家庭裁判所へ 遺産分割調停を申し立てる方法があります。

調停では、 裁判官と調停委員が関与し、 相続人間での合意を目指します。

相続人との話し合いが難しい不動産でもご相談できます

すでに自分の共有持分が確定している場合には、 自分の持分だけを売却した場合の価格も確認できます。

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本当に所在が分からない場合はどうする?

公的な資料などを確認しても、 相続人の現在の所在が分からないケースがあります。

このような場合には、 具体的な状況に応じて 家庭裁判所を利用した手続きを 検討することがあります。

代表的な制度の一つが、 不在者財産管理人です。

不在者財産管理人とは?

従来の住所・居所を離れ、 容易に戻る見込みがない人などについて、 その人の財産を管理するため、 家庭裁判所によって 不在者財産管理人が選任されることがあります。

不在者財産管理人は、 所在不明の本人に代わって その財産を管理します。

ただし、 管理人が選任されたからといって、 あらゆる行為を自由にできるわけではありません。

権限を超える行為については、 家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。

不在者財産管理人がいれば遺産分割できる?

不在者財産管理人が選任された場合でも、 遺産分割協議への参加については、 必要に応じて家庭裁判所の 権限外行為許可が問題になります。

そのため、

「管理人を選任すれば、すぐ自由に不動産を売却できる」

というわけではありません。

遺産分割の内容や不動産売却などについて、 どのような許可が必要になるのかを確認しながら 手続きを進める必要があります。

不在者財産管理人の申立ては誰ができる?

不在者財産管理人の選任は、 利害関係人や検察官が 家庭裁判所へ申し立てることができます。

相続の場面では、 所在不明の相続人がいることで 遺産分割を進められない他の相続人などが、 利害関係人として申立てを検討することがあります。

申立てでは、

  • 不在者との関係
  • 不在となった経緯
  • 現在の財産状況
  • 管理人選任が必要な理由

などを整理する必要があります。

不在者財産管理人には費用がかかる?

申立てには所定の費用がかかります。

また、 不在者の財産状況などによっては、 管理人の報酬などに充てるため、 家庭裁判所から予納金の納付を求められることがあります。

必要となる金額は 事案によって異なります。

そのため、 制度を利用する場合には、 申立先の家庭裁判所や弁護士などへ 事前に確認することが重要です。

失踪宣告とは?

相続人が長期間にわたって行方不明で、 生死そのものが分からない場合には、 失踪宣告という制度が問題になることがあります。

失踪宣告には、 大きく分けて、

  • 普通失踪
  • 特別失踪(危難失踪)

があります。

普通失踪では、 不在者の生死が7年間明らかでない場合に、 利害関係人などが家庭裁判所へ 失踪宣告を申し立てることができます。

一方、 戦争・船舶の沈没など、 死亡の原因となり得る危難に遭遇した場合には、 特別失踪が問題になることがあります。

「連絡が取れない=失踪宣告」ではない

電話に出ない、手紙を無視する、 家族と疎遠になっているというだけで、 直ちに失踪宣告を利用できるわけではありません。 住所は分かるが返事がない人と 生死・所在そのものが分からない人は 分けて考える必要があります。

不在者財産管理人と失踪宣告の違い

制度 主な場面 基本的な考え方
不在者財産管理人 所在不明の人の財産管理が必要 本人は生存している前提で財産を管理する
失踪宣告 長期間、生死が明らかでない 法律上、死亡したものとみなす制度
遺産分割調停 所在は分かるが遺産分割に応じない 家庭裁判所で相続人間の合意を目指す

つまり、 単に相続人から返事がないというだけで、 不在者財産管理人や失踪宣告を 選択するわけではありません。

現在の所在・生死・連絡状況によって、 適切な手続きが異なります。

相続人が海外にいるだけなら「所在不明」ではない

相続人が海外へ移住しているケースもあります。

海外に住んでいるというだけで、 その相続人を除外して 遺産分割を進めることはできません。

一方、 居住国や住所が分かり、 本人と連絡を取れるのであれば、 海外在住者を含めて 遺産分割を進めることは可能です。

ただし、 日本国内の相続人とは 必要書類が異なる場合があります。

たとえば、 印鑑証明書に代わる署名証明などが 必要になるケースがあります。

海外へ行ったまま住所も分からない場合

「昔海外へ移住したらしいが、 どこの国にいるのかも分からない」

というケースもあります。

この場合には、 国内で確認できる戸籍関係資料などから 分かる情報を整理したうえで、 所在調査を進めます。

それでも現在の所在が確認できない場合には、 具体的な状況に応じて 家庭裁判所を利用する手続きを検討することがあります。

海外・所在不明の共有者がいる不動産でもご相談できます

権利関係が複雑な場合でも、 現在の共有持分を整理し、 自分の持分を売却した場合の価格を確認できます。

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遺産分割が終わるまで不動産は売却できない?

相続人の一人と連絡が取れず、 遺産分割が進んでいない場合には、 相続不動産全体の通常売却を そのまま進めることは難しくなります。

まず、

  • 相続人の範囲
  • 遺言の有無
  • 現在の登記
  • 所在不明者の状況

などを整理する必要があります。

そのうえで、 所在不明者について必要な手続きを行い、 遺産分割・登記・売却へ進みます。

すでに共有登記されている場合は?

一方、 遺産分割などがすでに終わり、

  • A:1/3
  • B:1/3
  • C:1/3

のように各共有者の持分が 登記されているケースもあります。

その後、 Cと連絡が取れなくなった場合です。

この場合、 不動産全体を通常の方法で売却するには、 原則としてCを含む共有者全員の協力が必要です。

しかし、 Aが自分の1/3持分だけを売却するのであれば、 原則としてB・Cの売却同意は必要ありません。

連絡が取れない共有者がいても自分の持分は売却できる?

すでに自分の共有持分が確定している場合には、 自分が所有する共有持分だけを 第三者へ売却することができます。

原則として、 他の共有者の同意は必要ありません。

そのため、

  • 共有者の一人が音信不通
  • 共有者が海外へ行ったまま連絡が取れない
  • 全体売却の話し合いができない
  • 固定資産税だけ負担し続けている

という場合には、 自分の共有持分だけを売却する方法も選択肢になります。

重要|「相続分」と「確定した共有持分」は分ける

遺産分割前の、 「自分の法定相続分」 と、 遺産分割・登記などによって確定した、 「自分の不動産共有持分」 は同じ場面として考えないことが重要です。 持分売却を検討する場合には、 現在の登記と相続手続きの進行状況を確認しましょう。

所在不明の共有者がいる場合の共有物分割

すでに共有状態となっている不動産について、 共有者間で任意に共有状態を解消できない場合には、 共有物分割を検討することがあります。

ただし、 共有者の一人が所在不明の場合には、 訴訟手続きでも その共有者への手続き上の対応が必要になります。

具体的な状況によって、 必要となる手続きが異なるため、 弁護士などへ確認することが重要です。

連絡が取れない相続人がいる場合の対処の流れ

STEP1|相続人を確定する

戸籍関係書類を確認し、 誰が相続人なのかを確定します。

STEP2|現在の登記を確認する

登記事項証明書を取得し、 現在の所有者・持分・抵当権などを確認します。

STEP3|住所・所在を確認する

戸籍の附票など、 利用できる公的資料を確認して 現在の住所を調査します。

STEP4|本人へ連絡する

住所が判明した場合には、 手紙などで相続が発生していることを伝え、 遺産分割への参加を求めます。

STEP5|「無視」と「所在不明」を分ける

住所は分かっているが返事をしないのか、 所在そのものが分からないのかを整理します。

STEP6|必要な家庭裁判所の手続きを検討

状況に応じて、

  • 遺産分割調停
  • 不在者財産管理人
  • 失踪宣告

などの利用を検討します。

STEP7|遺産分割・登記を整理する

必要な手続きを経て 遺産分割を進め、 その内容に応じて登記を整理します。

STEP8|売却方法を決める

  • 不動産全体を売却する
  • 共有者間で持分を売買する
  • 自分の共有持分だけ売却する

などから、 現在の状況に合った方法を検討します。

音信不通の共有者がいて全体売却できない方へ

すでに自分の共有持分が確定している場合には、 他の共有者と連絡が取れなくても 持分単独の査定を行えます。

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連絡が取れない相続人がいる場合に避けたいこと

勝手に相続人から除外する

長期間連絡がないという理由だけで、 その人の相続権がなくなるわけではありません。

相続人である以上、 適切な手続きを取る必要があります。

残りの相続人だけで遺産分割協議書を作る

所在不明の相続人を除外して 残りの相続人だけで作成した遺産分割協議では、 必要な相続人全員の合意がそろいません。

住所が分からないだけで失踪宣告を考える

住所が分からないことと、 長期間にわたり生死が明らかでないことは 同じではありません。

まず所在調査を行い、 現在の状況を正確に把握することが重要です。

相続不動産を長期間放置する

相続人探しに時間がかかっている間も、 不動産には、

  • 固定資産税
  • 修繕費
  • 草木の管理
  • 火災・防犯リスク

などが発生します。

誰がどの費用を負担したのか、 領収書や支払記録を残しておきましょう。

相続人と連絡が取れない不動産でよくある質問

Q. 兄弟の一人と10年以上連絡を取っていません。除外して遺産分割できますか?

長期間連絡を取っていないという理由だけで、 その人を相続人から除外することはできません。 まず戸籍関係書類で相続人を確定し、 住所・所在を確認して連絡を試みる必要があります。

Q. 住所は分かりますが手紙を無視されています

所在が分かっているものの 遺産分割協議に応じない場合には、 単なる所在不明とは異なります。 当事者間で協議できない場合には、 家庭裁判所の遺産分割調停を検討する方法があります。

Q. 相続人の住所はどうやって調べますか?

相続人であることを確認したうえで、 戸籍や戸籍の附票など、 利用できる公的資料から現在の住所を確認できる場合があります。 請求できる人や必要書類にはルールがあるため、 市区町村や司法書士などへ確認しましょう。

Q. 相続人の住所がどうしても分からない場合は?

必要な調査をしても所在が確認できない場合には、 具体的な状況に応じて 不在者財産管理人など家庭裁判所を利用した制度を 検討することがあります。 単に連絡先を知らないだけなのか、 所在そのものが不明なのかを整理することが重要です。

Q. 不在者財産管理人を選任すればすぐ不動産を売却できますか?

管理人が選任されたという理由だけで、 自由に不動産を売却できるとは限りません。 不在者財産管理人には権限の範囲があり、 不動産の処分や遺産分割への参加などについて 家庭裁判所の権限外行為許可が必要になる場合があります。

Q. 何年間行方不明なら失踪宣告を申し立てられますか?

普通失踪では、 不在者の生死が7年間明らかでない場合に、 利害関係人などが家庭裁判所へ 失踪宣告を申し立てることができます。 一方、死亡につながる危難に遭遇した場合には、 特別失踪について別の要件があります。

Q. 海外に住んでいる相続人がいても遺産分割できますか?

海外在住であっても、 本人の所在が分かり連絡を取れるのであれば、 遺産分割を進めることは可能です。 ただし、印鑑証明書に代わる署名証明など、 国内居住者とは異なる書類が必要になる場合があります。

Q. 相続人の一人と連絡が取れなくても残りの人だけで不動産を売れますか?

遺産分割が終わっていない相続不動産について、 連絡が取れない相続人を除外して 残りの相続人だけで自由に不動産全体を売却できるとは限りません。 まず相続関係・所在・現在の登記を確認し、 必要な手続きを進める必要があります。

Q. すでに兄弟3人の共有登記になっています。一人が音信不通でも自分の持分は売れますか?

すでに自分の共有持分が確定している場合には、 自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく第三者へ売却できます。 ただし、不動産全体を通常売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。

Q. 音信不通の共有者がいると共有持分の査定はできませんか?

自分の共有持分が確定していれば、 他の共有者と連絡が取れない状態でも 持分単独の査定を行うことは可能です。 査定時には、 現在の登記・持分割合・共有者の状況などを 正確に伝えることが重要です。

Q. 相続人探しに時間がかかっている間の固定資産税はどうなりますか?

遺産分割や所在確認に時間がかかっていても、 固定資産税など不動産に関する負担は発生します。 誰かが立て替えている場合には、 納税通知書・領収書・振込記録などを保管し、 後の遺産分割や精算に備えることが重要です。

連絡が取れない共有者がいる不動産も査定できます

すでに自分の共有持分が確定している場合には、 他の共有者の同意を得ずに 自分の持分だけを売却する方法も検討できます。

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まとめ|「返事がない」と「所在不明」は分けて考える

相続人の一人と連絡が取れない場合には、 その人を除外して残りの相続人だけで 遺産分割を進めることはできません。

まず、

  • 本当に相続人なのか
  • 現在の住所は分かるのか
  • 本人は生存しているのか
  • 住所は分かるが返事をしないだけなのか
  • 所在そのものが分からないのか

を整理する必要があります。

住所が分からない場合には、 戸籍・戸籍の附票など 利用できる公的資料から 現在の所在を確認できるケースがあります。

住所が判明したら、 まず本人へ遺産分割について連絡します。

一方、 住所・所在は分かっているものの、 本人が遺産分割協議を無視している場合には、 所在不明とは異なります。

当事者間だけで話し合いが進まなければ、 家庭裁判所の遺産分割調停を 検討する方法があります。

必要な調査を行っても 所在が分からない場合には、 状況に応じて 不在者財産管理人などの制度を 検討することがあります。

また、 長期間にわたり生死そのものが明らかでない場合には、 失踪宣告が問題になることがあります。

普通失踪では、 原則として生死が7年間明らかでないことなどが 要件となります。

そのため、

「電話に出ないから失踪宣告」
「住所を知らないから不在者財産管理人」

と単純に判断するのではなく、 現在の状況に応じた制度を選ぶことが重要です。

また、 海外に住んでいるというだけで 所在不明になるわけではありません。

海外在住でも本人と連絡を取れるのであれば、 必要書類を整えて 遺産分割を進めることができます。

そして、 遺産分割が終わっていない段階と、 すでに共有持分が確定している段階では 売却方法も異なります。

遺産分割前であれば、 相続人・遺産・所在不明者について 必要な手続きを整理したうえで 遺産分割を進める必要があります。

一方、 すでに、

  • A:1/3
  • B:1/3
  • C:1/3

のように共有持分が確定している場合には、 Cと連絡が取れなくても、 Aが自分の1/3持分だけを売却するのであれば、 原則としてB・Cの同意は必要ありません。

そのため、

  • 共有者の所在が分からず全体売却できない
  • 長期間連絡が取れない
  • 固定資産税だけ負担し続けている
  • 次の相続が発生する前に整理したい

という場合には、 共有持分だけの売却も選択肢になります。

相続人の一人と連絡が取れない不動産では、 まず相続人・住所・生死・現在の登記を確認し、 「返事をしない」「所在不明」「生死不明」を分けて適切な手続きを検討し、 すでに自分の共有持分が確定している場合には、 不動産全体の売却だけでなく自分の共有持分だけを売却する方法まで比較することが重要です。

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