共有不動産の管理は誰が決める?保存・管理・変更行為の違いと決議要件を解説

相続・共有トラブル

兄弟・親族などで不動産を共有していると、 建物の修繕や賃貸、リフォームなどについて、

「自分一人で決めていいの?」
「過半数の賛成があればできる?」
「全員の同意が必要なのはどんな場合?」

と迷うことがあります。

共有不動産については、 すべての行為で 共有者全員の同意が必要になるわけではありません。

行為の内容によって、 大きく、

  • 保存行為
  • 管理行為
  • 軽微な変更
  • 重大な変更
  • 不動産全体の処分

などに分けて考えます。

たとえば、 共有物を守るための保存行為は、 各共有者が単独で行える場合があります。

一方、 通常の管理に関する事項については、 原則として 共有者の持分価格の過半数 で決定します。

さらに、 共有物の形状・効用を著しく変更するような 重大な変更については、 原則として共有者全員の同意が必要です。

この記事では、 共有不動産の保存・管理・変更の違い、 修繕・賃貸・リフォーム・建替え・売却では どの程度の同意が必要なのかを 具体例とともに解説します。

共有不動産の意思決定は「人数」ではなく持分を見ることがある

共有不動産の管理について、

「3人中2人が賛成したから多数決で決められる」

と考えてしまうことがあります。

しかし、 管理に関する事項では、 単純な人数ではなく、 持分価格の過半数 が基準になります。

たとえば、

  • A:60%
  • B:20%
  • C:20%

という共有関係だったとします。

B・Cの2人が賛成しても、 合計持分は40%です。

A一人の持分は60%なので、 人数ではB・Cが多数でも、 持分価格ではAが過半数を持っています。

「2人対1人」ではなく持分割合を確認

共有物の管理では、 共有者の人数 ではなく、 持分価格の過半数 が基準になる場面があります。 まず登記事項証明書で 各共有者の持分割合を確認しましょう。

保存行為とは?

保存行為とは、 共有物の現状や価値を維持し、 損傷・権利侵害などを防ぐための行為です。

保存行為については、 各共有者が単独で行うことができます。

つまり、 他の共有者全員の同意や 持分過半数の賛成を 必ず得なければならないわけではありません。

保存行為の具体例

具体的には、 状況によって、

  • 壊れた箇所を最低限修理する
  • 雨漏りを防ぐために応急修繕する
  • 不法占有者に対して権利を守るための対応をする
  • 消滅時効の完成を防ぐために必要な行為をする

などが保存行為として問題になることがあります。

ただし、 「修繕」という名前なら何でも保存行為になるわけではありません。

工事の規模・目的によっては、 管理行為や変更行為に該当する可能性があります。

管理行為とは?

管理行為とは、 共有物をどのように使用・収益させるかなど、 通常の利用・管理に関する行為です。

管理に関する事項は、 原則として、 各共有者の持分価格の過半数 で決定します。

そのため、 持分が50%を超える共有者がいる場合には、 その共有者だけで 過半数となるケースもあります。

管理行為の具体例

具体的には、 内容によって、

  • 共有不動産の利用方法を決める
  • 一定の賃貸借を行う
  • 管理会社を決める
  • 通常の維持管理方法を決める

などが管理行為として 問題になることがあります。

ただし、 賃貸借については 契約期間などによって 変更行為との区別が問題になる場合があります。

持分50%ちょうどでは過半数にならない

たとえば、

  • A:1/2
  • B:1/2

という共有状態の場合、 Aだけでは持分価格の 過半数にはなりません。

50%は半数であって、 50%を超えていないためです。

そのため、 管理行為を持分価格の過半数で決定する場面では、 A・Bが意見対立すると 管理方法を決められないケースがあります。

共有者と管理方法でもめている方へ

共有関係が長期間解決しない場合には、 自分の共有持分を売却した場合の価格も確認できます。

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共有物の「変更」とは?

変更とは、 共有物の形状・性質・利用方法などに 変更を加える行為です。

以前は、 共有物に変更を加える行為について 原則として共有者全員の同意が必要とされていました。

現在は民法改正により、 形状または効用の著しい変更を伴わない変更 については、 持分価格の過半数で 決定できる場合があります。

一方、 形状・効用を大きく変える 重大な変更については、 原則として共有者全員の同意が必要です。

軽微な変更とは?

軽微な変更とは、 共有物の形状または効用を 著しく変更しない範囲の変更です。

具体的にどの工事・行為が 軽微な変更に該当するかは、 不動産・工事内容などによって 個別に判断する必要があります。

そのため、

「小規模工事だから必ず軽微な変更」

と単純に判断しないことが重要です。

重大な変更とは?

共有物の形状・効用を 著しく変える行為については、 原則として共有者全員の同意が必要です。

たとえば、 不動産の性質を大きく変えてしまうような行為です。

具体的には、

  • 建物全部を取り壊す
  • 共有物の性質を大きく変える工事をする
  • 共有者の権利へ重大な影響を与える変更をする

などについて 重大な変更に該当するかが問題になります。

保存・管理・変更の基本

保存行為
→ 各共有者が単独で可能

管理行為
→ 原則として持分価格の過半数

軽微な変更
→ 持分価格の過半数で可能な場合がある

重大な変更
→ 原則として共有者全員の同意

不動産全体を売却するには全員の協力が必要

共有不動産全体を第三者へ売却することは、 管理行為とは異なります。

各共有者が所有する持分そのものを 処分することになるため、 通常の全体売却では、 原則として共有者全員の協力が必要 です。

たとえば、

  • A:60%
  • B:20%
  • C:20%

だったとしても、 Aが過半数の60%を持っているというだけで、 B・Cの持分まで含めて 不動産全部を勝手に売却することはできません。

自分の共有持分だけなら単独で売却できる

不動産全体の売却とは異なり、 自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として単独で売却できます。

そのため、 共有者全員での全体売却がまとまらなくても、 自分の持分だけを第三者へ売却する方法があります。

共有不動産を賃貸するには誰の同意が必要?

共有不動産を第三者へ賃貸する場合には、 賃貸借の内容によって 必要となる同意を確認する必要があります。

一定の範囲の賃貸借であれば、 管理行為として 持分価格の過半数で決められる場合があります。

一方、 長期間にわたって共有者の権利へ 大きな影響を及ぼす賃貸借などでは、 単純な管理行為として扱えない場合があります。

そのため、

  • 土地か建物か
  • 賃貸期間
  • 契約内容
  • 利用目的

などを確認することが重要です。

共有者の一人が勝手に賃貸したら?

必要な同意を得ずに 共有者の一人が第三者へ賃貸した場合には、 賃貸借の効力や 他の共有者との関係が問題になることがあります。

「自分も共有者だから自由に全部貸せる」

とは限りません。

賃貸借契約を締結する前に、 必要な持分割合・同意を 確認しておきましょう。

共有不動産の修繕は一人でできる?

修繕については、 すべて同じ扱いになるわけではありません。

共有物の価値を維持するための 保存行為に該当する修繕であれば、 一人の共有者が単独で行える場合があります。

一方、

  • 大規模な改修
  • 用途を変更する工事
  • 建物の形状を大きく変える工事

などでは、 管理・変更のルールが問題になります。

工事名称だけで判断せず、 工事によって共有物がどう変わるのか を基準に考えることが重要です。

費用は誰が負担する?

共有物について必要となる費用は、 共有者間では原則として 持分に応じた負担が問題になります。

ただし、 一人の共有者が独断で行った工事について、 他の共有者へ当然に すべての費用を請求できるとは限りません。

  • 本当に必要な保存行為だったか
  • 工事内容は相当だったか
  • 事前に共有者へ連絡したか
  • 共有者間で合意があったか

などを確認する必要があります。

共有不動産をリフォームする場合

リフォームという言葉には、 小規模な修繕から 大規模な間取り変更まで さまざまな工事が含まれます。

そのため、

「リフォームだから過半数」

と一律に判断することはできません。

工事の内容が、

  • 保存行為
  • 管理行為
  • 軽微な変更
  • 重大な変更

のどれに該当するのかを 個別に確認する必要があります。

共有者との話し合いが進まない方へ

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建物を建て替える場合は?

既存建物を取り壊し、 新しい建物へ建て替える場合には、 単なる通常の管理とは異なります。

建物の取り壊しや 共有物の性質を大きく変える行為が含まれるため、 原則として共有者全員の同意が問題になります。

共有者の一人が、

「自分が費用を全部出すから勝手に建て替えていい」

というものではありません。

費用を誰が負担するかと、 法律上必要となる同意は 別に考える必要があります。

共有土地に新しい建物を建てる場合

共有名義の土地へ 新たに建物を建築する場合にも、 土地の利用方法へ大きな影響を与えます。

建築によって 他の共有者の土地利用が制限される可能性もあるため、 持分割合だけを見て 一人で進めるのは注意が必要です。

具体的な建築計画がある場合には、 共有者間の同意関係を整理してから 進めることが重要です。

管理について意見が割れたらどうする?

共有不動産では、

  • 賃貸したい人
  • 自分で使いたい人
  • 売却したい人
  • 何もしたくない人

など、 共有者ごとに意見が違うことがあります。

まず、 問題となっている行為が、 保存・管理・変更のどれに該当するのかを整理します。

そのうえで、 必要な持分割合・同意を確認します。

過半数を持つ共有者がいない場合

たとえば、

  • A:1/3
  • B:1/3
  • C:1/3

で意見が分かれている場合、 一人だけでは 持分価格の過半数になりません。

管理事項を決定するためには、 原則として2人以上が同じ方針に賛成し、 合計持分が過半数になる必要があります。

話し合いが長期間まとまらない場合には、 共有状態そのものを 整理することも検討します。

共有者が連絡を無視する場合

共有者へ連絡しても、

  • 電話に出ない
  • 手紙へ返事をしない
  • 管理について話し合わない

ということがあります。

単に連絡を無視している場合と、 所在そのものが分からない場合では、 対応が異なります。

また、 共有者の不在によって 管理に関する意思決定ができない場合には、 具体的な状況に応じて 裁判所を利用した制度が問題になることもあります。

共有状態そのものを解消する方法

管理方法について何年も争いが続く場合には、 個別の管理問題だけではなく、 共有状態そのものを解消する方法を検討できます。

主な方法として、

  • 共有者全員で不動産全体を売却する
  • 一人の共有者へ持分を集約する
  • 自分の共有持分だけを売却する
  • 共有物分割を行う

などがあります。

保存・管理・変更を比較

区分 基本的な決め方 主なイメージ
保存行為 各共有者が単独で可能 共有物を守るために必要な行為
管理行為 持分価格の過半数 通常の利用・管理
軽微な変更 持分価格の過半数で可能な場合がある 形状・効用を著しく変えない変更
重大な変更 原則として共有者全員の同意 共有物を大きく変える行為
全体売却 原則として共有者全員の協力 共有不動産全部を処分する
迷ったら「何をするか」より「不動産がどう変わるか」を見る

同じ「修繕」「リフォーム」という言葉でも、 工事内容によって法的な扱いが変わる場合があります。 共有物の現状維持なのか
通常の管理なのか
形状・効用を大きく変えるのか を整理することが重要です。

共有不動産の管理でよくある質問

Q. 共有不動産の修繕は一人でできますか?

共有物を維持するために必要な保存行為に該当する修繕であれば、 各共有者が単独で行える場合があります。 ただし、大規模な改修や用途変更などは 管理行為・変更行為として扱われる可能性があるため、 工事内容を個別に確認する必要があります。

Q. 共有者の一人が60%持っていれば何でも決められますか?

管理行為については、 持分価格の過半数で決定できるため、 60%を持つ共有者だけで決められる場合があります。 ただし、不動産全体の売却や重大な変更まで 一人で決められるわけではありません。

Q. 共有者が2人で50%ずつの場合はどうなりますか?

50%ずつの場合、 どちらか一人だけでは 持分価格の過半数にはなりません。 管理事項について意見が分かれると、 合意できず進まないことがあります。

Q. 他の共有者に無断で賃貸に出せますか?

共有不動産の賃貸は、 契約内容・期間などによって 管理行為として扱われる場合があります。 自分が共有者だからという理由だけで、 不動産全体を自由に賃貸できるとは限りません。 必要な持分割合・同意を確認しましょう。

Q. 大規模リフォームは過半数でできますか?

工事内容によって異なります。 形状・効用を著しく変更しない軽微な変更であれば、 持分価格の過半数で決められる場合があります。 一方、共有物を大きく変える重大な変更は、 原則として共有者全員の同意が必要です。

Q. 建物の建替えは一人でできますか?

通常、既存建物の取壊しや新築は 共有物の性質へ大きな影響を与えるため、 一人の共有者だけで自由に進めることはできません。 原則として共有者全員の同意が問題になります。

Q. 共有不動産全体を過半数で売れますか?

できません。 不動産全体を通常売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。 持分価格の過半数を持っていても、 他の共有者の持分まで勝手に処分することはできません。

Q. 自分の共有持分だけなら一人で売れますか?

自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。 全体売却と自分の持分売却は 分けて考えることが重要です。

Q. 修繕費は持分割合で負担しますか?

共有物の維持・管理に必要な費用については、 共有者間では持分割合に応じた負担が 問題になることがあります。 ただし、一人が独断で行った工事については、 他の共有者へ当然に全額請求できるとは限りません。 工事内容や必要性、合意の有無を確認する必要があります。

Q. 共有者が管理の話し合いに応じない場合は?

まず、問題となっている行為が 保存・管理・変更のどれに該当するかを整理します。 そのうえで必要な持分割合・同意を確認し、 長期間解決しない場合には、 共有状態そのものの解消を検討することもあります。

管理トラブルから共有関係を整理したい方へ

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共有不動産の管理ルールを判断する手順

STEP1|何をしたいのか整理する

まず、

  • 修繕したい
  • 賃貸したい
  • リフォームしたい
  • 建て替えたい
  • 売却したい

など、 具体的な行為を整理します。

STEP2|保存・管理・変更・処分のどれか確認

行為の名称ではなく、 共有物の状態・利用方法が どの程度変わるのかを確認します。

STEP3|各共有者の持分を確認

登記事項証明書などで、 各共有者の持分割合を確認します。

管理行為などでは、 人数ではなく持分価格の過半数が 基準になるためです。

STEP4|必要な同意を確認

保存行為なら単独、 管理行為・軽微な変更なら持分価格の過半数、 重大な変更・全体売却なら 原則として全員の同意が必要という 基本ルールを確認します。

STEP5|費用負担も整理

工事・管理を行う場合には、 誰が費用を負担するのかも 同時に確認します。

STEP6|話し合いがまとまらなければ共有解消を検討

管理方法について長期間対立が続く場合には、

  • 持分売買
  • 不動産全体の売却
  • 自分の持分売却
  • 共有物分割

などを比較します。

管理トラブルを放置するリスク

共有不動産の管理について 意見がまとまらない状態を放置すると、

  • 必要な修繕ができない
  • 建物の劣化が進む
  • 空き家状態が長期化する
  • 賃貸・活用の機会を逃す
  • 共有者間の関係が悪化する

可能性があります。

また、 その間に相続が発生すれば、 共有者が増えて さらに意思決定が難しくなることもあります。

管理で揉めているなら「共有そのもの」を見直す

毎回、 ・修繕
・賃貸
・管理費
・売却 でもめるのであれば、 個別問題だけでなく、 共有状態をこのまま続けるべきか まで考えることが重要です。

まとめ|共有不動産は行為ごとに必要な同意が違う

共有不動産については、 何をする場合でも全員の同意が必要というわけではありません。

基本的には、

  • 保存行為
  • 管理行為
  • 軽微な変更
  • 重大な変更
  • 不動産全体の売却

に分けて考えます。

保存行為については、 各共有者が単独で行うことができます。

一方、 通常の管理に関する事項は、 原則として持分価格の過半数で決定します。

ここで重要なのが、 共有者の人数ではなく持分割合を見ること です。

たとえば、 Aが60%、 B・Cが20%ずつ所有している場合には、 B・Cの2人が賛成しても 合計持分は40%です。

一方、 A一人で60%なので、 管理事項については A側が持分価格の過半数を持つことになります。

また、 民法改正により、 共有物の形状または効用を 著しく変更しない軽微な変更については、 持分価格の過半数で 決定できる場合があります。

一方、 共有物の性質を大きく変えるような 重大な変更については、 原則として共有者全員の同意が必要です。

不動産全体の売却についても、 持分価格の過半数だけで 決めることはできません。

自分が60%・70%を所有していても、 他の共有者の持分まで 勝手に第三者へ売却することはできないため、 通常の全体売却では 原則として共有者全員の協力が必要です。

一方、 自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として単独で売却できます。

共有不動産の管理で重要なのは、

「修繕だから」「リフォームだから」

と名称だけで判断しないことです。

実際に、

  • 不動産の現状維持なのか
  • 通常の利用・管理なのか
  • 形状・効用をどの程度変更するのか

を確認して、 必要な同意を判断します。

管理方法について 共有者同士で長期間対立している場合には、 個別の問題を毎回解決するだけでなく、

  • 共有者間で持分を売買する
  • 共有者全員で不動産を売却する
  • 自分の持分だけを売却する
  • 共有物分割を行う

など、 共有状態そのものを整理する方法もあります。

共有不動産について何かを決めるときは、 まずその行為が保存・管理・軽微な変更・重大な変更・全体処分のどれに該当するのかを整理し、 各共有者の持分割合を確認したうえで必要な同意を判断することが重要です。 管理トラブルが長期化している場合には、 共有関係そのものの解消まで含めて検討しましょう。

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