親が亡くなり、 実家や土地・アパートなどを 兄弟・姉妹で相続することがあります。
その際、
「誰も住まないので売却したい」
「兄弟全員で売って現金で分けたい」
と考えるケースは少なくありません。
しかし、 相続した不動産は、 通常の不動産売却とは違い、 売却前に確認すべきことがあります。
たとえば、
- 相続人は誰なのか
- 遺言書はあるか
- 誰が不動産を取得するのか
- 相続登記は終わっているか
- 共有者全員が売却に賛成しているか
- 抵当権などが残っていないか
などです。
結論からいうと、 相続した共有不動産を売却する場合は、 現在の権利関係を整理したうえで 売却手続きを進めることが重要です。
特に不動産全体を通常の方法で売却する場合には、 原則として その不動産について権利を持つ共有者全員の協力が必要になります。
一方、 共有者全員が売却に合意しない場合でも、 自分が所有する共有持分だけを 売却できるケースがあります。
この記事では、 相続した共有不動産を売却するまでの流れを、 相続人の確認から相続登記、 査定・売却・代金分配・税金まで順番に解説します。
- 相続した不動産をすぐ売却できる?
- STEP1|まず相続人を確認する
- STEP2|遺言書がないか確認する
- STEP3|不動産の登記を確認する
- STEP4|遺産分割で誰が取得するか決める
- 売却予定なら共有登記にするしかない?
- 相続人同士で共有にする場合の注意点
- STEP5|相続登記を行う
- 相続登記が終わっていなくても相談はできる?
- 相続登記に必要になる主な書類
- STEP6|共有者全員で売却について話し合う
- 共有者全員が同じ場所に集まらないと売却できない?
- 海外に住んでいる共有者がいる場合は?
- STEP7|不動産の査定を行う
- 不動産全体の査定と共有持分の査定は違う
- STEP8|媒介契約・売却活動を開始する
- STEP9|売買契約を締結する
- STEP10|決済・所有権移転を行う
- STEP11|売却代金を分配する
- STEP12|売却後の税金・確定申告を確認する
- 相続した不動産の取得費はどうなる?
- 相続税を払っている場合に確認したい特例
- 相続した空き家の3,000万円特別控除
- 共有者の一人が売却に反対したら?
- 自分の相続持分だけなら売却できる
- 共有者と連絡が取れない場合は?
- 相続人が増えすぎている場合は?
- 相続した共有不動産の売却で避けたいこと
- 相続した共有不動産を売却する流れを一覧で確認
- 相続した共有不動産の売却でよくある質問
- まとめ|相続した共有不動産は権利関係を整理してから売却する
相続した不動産をすぐ売却できる?
親が亡くなった直後に、 そのまま親名義の状態で 通常の売却手続きを完了できるわけではありません。
まず、 誰が不動産を相続するのかを確認し、 売却に必要な権利関係を整理する必要があります。
一般的には、
- 相続人を確認する
- 遺言書を確認する
- 遺産分割を行う
- 相続登記を行う
- 売却する
という流れになります。
相続不動産を売却するには、 まず現在の相続関係を整理する必要があります。 売却を急いでいる場合でも、 相続人の確認 → 権利関係の整理 → 売却 という順番で進めることが重要です。
STEP1|まず相続人を確認する
最初に、 亡くなった人の相続人が誰なのか確認します。
家族が把握している人だけで判断するのではなく、 必要な戸籍関係書類などを確認しながら 法定相続人を確定していきます。
たとえば、 父が亡くなり、
- 母
- 長男
- 次男
が相続人になるケースがあります。
また、 前婚の子など、 家族が把握していなかった相続人が 確認されるケースもあります。
STEP2|遺言書がないか確認する
亡くなった人が遺言書を残している場合には、 不動産を誰が取得するのかについて 重要な内容が記載されている可能性があります。
そのため、 遺産分割を始める前に 遺言書の有無を確認することが重要です。
遺言書の種類や保管状況によっては、 家庭裁判所での検認が必要になる場合があります。
一方、 法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して 保管されている遺言書など、 検認が不要となるものもあります。
STEP3|不動産の登記を確認する
次に、 登記事項証明書を取得して、 現在の登記内容を確認します。
確認したいのは、
- 現在の所有者
- 共有持分
- 抵当権
- 差押え
- その他の権利
などです。
家族から聞いていた内容と 実際の登記が違うケースもあるため、 売却前に確認しておきましょう。
STEP4|遺産分割で誰が取得するか決める
遺言などによって取得者が決まっていない場合には、 相続人同士で遺産分割を行います。
不動産の分け方には、 さまざまな方法があります。
たとえば、
- 一人の相続人が不動産を取得する
- 複数の相続人で共有する
- 不動産を売却して代金を分ける
などです。
売却予定なら共有登記にするしかない?
相続人全員で不動産を売却し、 売却代金を分けたい場合でも、 必ず長期間共有状態を維持しなければならない という意味ではありません。
どのような遺産分割・登記・売却方法を選ぶかによって、 手続きや税務上の扱いが異なる可能性があります。
売却を前提としている場合には、 遺産分割協議をまとめる段階から 司法書士・税理士などへ確認しながら進めると安心です。
相続人同士で共有にする場合の注意点
兄弟3人で、
- A:1/3
- B:1/3
- C:1/3
のように相続登記すると、 その後は3人の共有不動産になります。
不動産全体を通常売却する場合には、 原則として3人全員の協力が必要です。
そのため、 将来、
- Aは売りたい
- Bは保有したい
- Cと連絡が取れない
という状態になると、 全体売却が難しくなる可能性があります。
STEP5|相続登記を行う
相続によって不動産を取得した場合には、 相続登記を行います。
2024年4月1日から 相続登記は義務化されています。
原則として、 相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から 3年以内に相続登記の申請をする必要があります。
遺産分割が成立した場合についても、 一定の期限内に その内容に沿った登記申請が必要になります。
相続登記が終わっていなくても相談はできる?
相続登記が未了の段階でも、 不動産の査定や売却方法について 事前に相談することはできます。
そのため、
「相続登記が終わるまで不動産会社には何も相談できない」
というわけではありません。
ただし、 実際に所有権移転を伴う売却を完了させるためには、 相続関係・登記関係を適切に整理する必要があります。
相続登記に必要になる主な書類
具体的な相続関係によって異なりますが、 一般的には、
- 被相続人の戸籍関係書類
- 相続人の戸籍謄本
- 住民票
- 固定資産評価証明書など
- 遺産分割協議書
- 相続人の印鑑証明書
などが必要になることがあります。
遺言書がある場合や、 法定相続分による登記を行う場合など、 相続の状況によって必要書類は異なります。
また、 法定相続情報一覧図を利用できる場合には、 相続手続きで戸籍一式を何度も提出する負担を 軽減できることがあります。
STEP6|共有者全員で売却について話し合う
相続登記によって複数人の共有になった不動産を 通常の方法で全部売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。
そのため、 査定を依頼する段階から、
- 売却するか
- いくらなら売却するか
- どの不動産会社へ依頼するか
- 売却費用をどう負担するか
- 売却代金をどう分配するか
などについて、 共有者間で方針を整理しておくと 売却を進めやすくなります。
共有者全員が同じ場所に集まらないと売却できない?
共有者全員が 必ず同じ場所へ集まらなければ 売却できないというわけではありません。
共有者が遠方に住んでいる場合などには、 契約方法や必要書類について 不動産会社・司法書士などと調整しながら 手続きを進める方法があります。
ただし、 不動産全体を売却する以上、 原則として各共有者の売却意思や 本人確認などが必要になります。
海外に住んでいる共有者がいる場合は?
相続人・共有者の中に 海外在住者がいるケースもあります。
海外在住だからという理由だけで、 共有不動産の売却が 当然にできなくなるわけではありません。
ただし、 日本国内の印鑑証明書を取得できない場合などには、 署名証明など、 状況に応じた書類が必要になることがあります。
居住国や国籍、 登記手続きの内容によって 必要書類が異なる可能性があるため、 司法書士などへ早めに確認することが重要です。
STEP7|不動産の査定を行う
権利関係と売却方針を確認したら、 不動産の査定を行います。
査定では、
- 所在地
- 土地面積・建物面積
- 築年数
- 接道状況
- 建物状態
- 周辺の成約事例
- 賃貸状況
- 権利関係
などを確認します。
相続人同士で売却価格について 認識が大きく違う場合には、 まず査定によって 現在の市場価格の目安を共有すると 話し合いやすくなります。
不動産全体の査定と共有持分の査定は違う
ここで重要なのが、 不動産全体の価格と共有持分単独の価格は 同じ考え方ではないという点です。
たとえば、 不動産全体の市場価格が3,000万円で、 自分の持分が1/3だからといって、
「自分の共有持分だけでも必ず1,000万円で売れる」
とは限りません。
共有持分だけを取得する買主は、 不動産全体を自由に使用・売却できるわけではないため、 持分単独の市場性などが価格へ影響します。
不動産全体を売却した場合
→ 通常の不動産市場での価格 自分の共有持分だけを売却した場合
→ 持分単独としての査定価格 共有者と売却方針が合わない場合には、 両方を確認して比較することが重要です。
STEP8|媒介契約・売却活動を開始する
共有者全員で不動産全体を売却する場合には、 売却条件を決め、 不動産会社へ売却を依頼します。
売却活動では、
- 売出価格
- 値下げの判断基準
- 内覧への対応
- 引渡し時期
などについて、 共有者間で事前に方針を決めておくと 意思決定がスムーズになります。
購入申込みが入るたびに 共有者間で意見が分かれると、 売却の機会を逃す可能性があります。
STEP9|売買契約を締結する
買主と売却条件について合意したら、 売買契約へ進みます。
共有不動産全体を売却する場合には、 原則として共有者全員が売主となります。
売買契約前には、
- 売買価格
- 手付金
- 決済日
- 引渡し条件
- 契約不適合責任に関する条件
- 残置物の処理
などを確認します。
STEP10|決済・所有権移転を行う
決済日には、 買主から残代金を受け取り、 所有権移転登記などの手続きを行います。
抵当権が残っている場合には、 売却代金などから債務を返済し、 抵当権抹消の手続きを同時に進めることがあります。
決済前に、
- 抵当権の有無
- ローン残高
- 必要な抹消書類
などを確認しておくことが重要です。
STEP11|売却代金を分配する
共有不動産全体を売却した場合には、 売却代金について 各共有者の持分割合が重要な基準になります。
ただし、 実際の最終受取額を計算するときには、
- 仲介手数料
- 登記関係費用
- 住宅ローン
- 固定資産税等の精算
- 共有者間の立替費用
なども確認する必要があります。
STEP12|売却後の税金・確定申告を確認する
相続した共有不動産を売却して 譲渡所得が生じた場合には、 所得税・復興特別所得税・住民税が かかる可能性があります。
共有不動産を全体で売却しても、 譲渡所得は原則として 各共有者ごとに計算します。
確認する主な項目は、
- 各共有者の売却収入
- 取得費
- 譲渡費用
- 所有期間
- 利用できる特例
などです。
相続した不動産の取得費はどうなる?
相続した不動産については、 原則として被相続人の取得費を引き継ぎます。
そのため、 親が購入したときの、
- 売買契約書
- 領収書
- 仲介手数料の資料
などが残っていないか確認しましょう。
取得費が分からない場合には、 一定の場合に売却代金の5%相当額を 概算取得費として計算する方法があります。
取得費が小さくなると 譲渡所得が大きくなる可能性があるため、 古い資料もできるだけ探しておくことが重要です。
相続税を払っている場合に確認したい特例
相続によって取得した不動産を 一定期間内に売却した場合には、 一定の要件を満たすことで、 支払った相続税の一部を取得費へ加算できる 特例を利用できる場合があります。
相続税を納付している場合には、 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例 を利用できないか確認しましょう。
相続した空き家の3,000万円特別控除
被相続人が住んでいた一定の家屋・敷地を 相続人が売却した場合には、 要件を満たすことで 譲渡所得から最高3,000万円を控除できる 特例が利用できる場合があります。
ただし、 建築時期・相続開始時の利用状況・売却時期・売却価格など、 複数の要件があります。
また、 相続人の人数などによって 控除額の上限が変わる場合があります。
特例を検討する場合には、 売却前に税理士・税務署などへ 最新の適用要件を確認することが重要です。
共有者の一人が売却に反対したら?
相続人全員で共有している不動産について、
- A:売却したい
- B:売却したい
- C:売却したくない
という状態になることがあります。
不動産全体を通常の方法で売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。
そのため、 Cが売却に協力しない状態で、 AとBだけがCの持分まで含めて 不動産全体を売却することはできません。
自分の相続持分だけなら売却できる
共有者全員による全体売却がまとまらない場合でも、 自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。
たとえば、 兄弟3人がそれぞれ1/3ずつ所有している場合、 自分の1/3持分だけを 第三者へ売却することを検討できます。
ただし、 共有持分だけの売却価格は、 不動産全体の市場価格に 単純に持分割合を掛けた金額と 同じになるとは限りません。
共有者と連絡が取れない場合は?
相続から時間が経つと、 共有者の一人と 連絡が取れなくなることがあります。
不動産全体を通常売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要なため、 連絡が取れない共有者がいると そのままでは売却を進めにくくなります。
まず住所・戸籍関係など 必要な情報を確認し、 連絡方法を検討します。
それでも所在不明などの事情がある場合には、 状況に応じて法的手続きの利用を検討することがあります。
相続人が増えすぎている場合は?
相続登記を長期間放置していると、 最初は兄弟3人だけだった権利関係が、 その後の相続によって 多数の相続人へ広がることがあります。
共有者が増えるほど、
- 全員を確認する
- 連絡を取る
- 売却条件について合意する
- 必要書類をそろえる
といった手続きが複雑になる可能性があります。
相続不動産は、 「使っていないからそのままでいい」 と長期間放置しないことが重要です。
相続した共有不動産の売却で避けたいこと
相続人を確認せず売却を進める
家族が把握している人だけで 相続人を判断するのではなく、 必要な戸籍関係を確認しましょう。
共有者全員が売却に賛成していると思い込む
売却活動を始める前に、
- 売却すること
- 希望価格
- 売却条件
- 売却代金の分配方法
などについて、 共有者全員の意向を確認しておくことが重要です。
相続登記を後回しにする
相続登記を長期間放置すると、 その後さらに相続が発生し、 権利関係が複雑になる可能性があります。
相続登記には申請期限もあるため、 早めに手続きを進めましょう。
不動産全体の価格と共有持分の価格を同じと考える
不動産全体の市場価格に 自分の持分割合を掛ければ、 その金額で共有持分単独を売却できるとは限りません。
全体売却と持分単独売却では、 価格の考え方が異なります。
取得費の資料を捨ててしまう
相続した不動産を売却した場合、 亡くなった人が購入したときの資料が 譲渡所得の計算で重要になることがあります。
古い売買契約書・領収書などが見つかった場合には、 売却後の税務手続きが終わるまで 大切に保管しておきましょう。
税金を確認せず売却代金をすべて使う
不動産を売却して利益が生じた場合には、 翌年に譲渡所得について 確定申告・納税が必要になる可能性があります。
売却代金が入ったからといって、 手元に残った金額を すべて自由に使えるとは限りません。
相続した共有不動産を売却する流れを一覧で確認
| ステップ | 主な内容 |
|---|---|
| STEP1 | 戸籍などから相続人を確認する |
| STEP2 | 遺言書の有無・内容を確認する |
| STEP3 | 登記事項証明書で不動産の権利関係を確認する |
| STEP4 | 遺産分割で不動産の取得方法を決める |
| STEP5 | 相続登記を行う |
| STEP6 | 共有者全員で売却方針を確認する |
| STEP7 | 不動産の査定を行う |
| STEP8 | 売却活動を開始する |
| STEP9 | 買主と売買契約を締結する |
| STEP10 | 決済・所有権移転を行う |
| STEP11 | 売却代金・費用を精算する |
| STEP12 | 譲渡所得・確定申告を確認する |
相続した共有不動産では、 相続人の確認
↓
権利関係の整理
↓
相続登記
↓
売却
↓
代金分配・税金 までを一つの流れとして考えることが重要です。
相続した共有不動産の売却でよくある質問
Q. 親名義のままでも不動産を売却できますか?
亡くなった親名義のまま、 通常の売買による所有権移転をそのまま完了させるのではなく、 相続関係を確認し、 売却に必要な登記を整えたうえで手続きを進める必要があります。 相続登記が未了でも査定・売却方法について 事前に相談することは可能です。
Q. 相続登記が終わるまで査定してもらえませんか?
相続登記が未了でも、 不動産の査定や売却方法について 相談することはできます。 ただし、実際に売買を完了するためには、 相続関係や登記を適切に整理する必要があります。
Q. 相続登記はいつまでにしなければなりませんか?
原則として、 相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から 3年以内に相続登記を申請する必要があります。 遺産分割が成立した場合についても、 その内容に沿った登記について期限が定められています。
Q. 兄弟3人で相続した不動産を2人だけで売却できますか?
3人が共有者となっている不動産全体を 通常の方法で売却する場合には、 原則として3人全員の協力が必要です。 2人だけで残る1人の持分まで 勝手に第三者へ売却することはできません。
Q. 他の相続人が売却に反対しています。自分の持分だけ売れますか?
相続によって自分の共有持分が確定し、 必要な登記などが整っている場合には、 自分が所有する共有持分だけを 原則として他の共有者の同意なく売却できます。 ただし、持分単独の価格は 不動産全体の価格に持分割合を掛けた金額と 同じになるとは限りません。
Q. 相続人の一人と連絡が取れなくても全体を売却できますか?
共有不動産全体を通常売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。 連絡が取れない共有者がいる場合には、 まず住所・戸籍関係などを確認し、 必要に応じて状況に応じた法的手続きを検討します。
Q. 海外に住んでいる相続人がいても売却できますか?
海外在住の共有者がいるという理由だけで、 売却できなくなるわけではありません。 ただし、署名証明など、 国内居住者とは異なる書類が必要になる場合があります。 居住国や登記内容に応じて、 司法書士などへ必要書類を確認することが重要です。
Q. 相続した不動産を売ったら税金はかかりますか?
売却によって譲渡所得が生じた場合には、 所得税・復興特別所得税・住民税が かかる可能性があります。 相続した不動産では、 原則として被相続人の取得費・取得時期を引き継いで 計算することになります。
Q. 相続した実家を売ると3,000万円控除を使えますか?
相続した被相続人の居住用財産については、 一定の要件を満たすことで 譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例が 利用できる場合があります。 適用要件が複数あるため、 売却前に税理士・税務署などへ確認することが重要です。
Q. 相続税を払った後に売却した場合、税金が二重にかかるのですか?
相続税と不動産売却時の譲渡所得に対する税金は、 それぞれ異なる税金です。 ただし、一定の要件を満たす場合には、 支払った相続税の一部を取得費へ加算できる 取得費加算の特例を利用できることがあります。
Q. 相続した共有持分だけでも査定できますか?
不動産全体ではなく、 相続した自分の共有持分だけでも査定できます。 共有者全員による全体売却が難しい場合には、 全体売却した場合と持分だけ売却した場合の 両方の価格を比較すると判断しやすくなります。
まとめ|相続した共有不動産は権利関係を整理してから売却する
相続した共有不動産を売却するときは、 いきなり不動産会社へ売却を依頼するだけではなく、 まず相続関係と権利関係を整理することが重要です。
基本的には、
- 相続人を確認する
- 遺言書を確認する
- 登記内容を確認する
- 遺産分割を行う
- 相続登記を行う
- 共有者間で売却方針を決める
- 査定・売却活動を行う
- 売買契約・決済を行う
- 売却代金を精算する
- 売却後の税金を確認する
という流れで進めます。
特に相続登記は、 2024年4月1日から義務化されています。
原則として、 相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から 3年以内に申請する必要があるため、 長期間放置しないことが重要です。
また、 兄弟など複数の相続人で共有すると、 その後の不動産全体の売却には 原則として共有者全員の協力が必要になります。
相続直後は関係が良好でも、 時間が経つと、
- 一人だけ売却に反対する
- 共有者と連絡が取れなくなる
- 共有者が亡くなって次の相続が発生する
- 共有者が海外へ移住する
などによって、 権利関係が複雑になる可能性があります。
そのため、 売却を予定している不動産については、 遺産分割の段階から 将来の売却方法まで考えておくことが重要です。
そして、 共有者全員で不動産全体を売却できる場合には、 売却代金について 持分割合や売却費用などを整理して分配します。
売却によって利益が生じた場合には、 各共有者について 譲渡所得税なども確認する必要があります。
一方、 共有者の一人が売却に反対するなど、 全体売却がまとまらない場合でも、 自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。
ただし、 共有持分単独の売却価格は、 不動産全体の市場価格に 単純に持分割合を掛けた金額とは限りません。
相続した共有不動産を売却するときは、 相続人・遺言・登記・持分・抵当権などの権利関係を最初に確認し、 共有者全員での売却と自分の共有持分だけの売却の両方を比較しながら、 売却代金の分配・税金まで含めて手続きを進めることが重要です。



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