共有者が認知症になったら不動産はどうなる?売却・管理への影響と対処法を解説

相続・共有トラブル

親子・兄弟などで共有している不動産について、 共有者の一人が認知症になり、 契約内容を十分に理解できない状態になることがあります。

そこで問題になるのが、

「認知症の共有者がいても不動産全体を売れる?」
「家族が代わりに契約書へ署名できる?」
「成年後見人を付ければすぐ売れる?」
「自分の共有持分だけなら売れる?」

という点です。

不動産の売買契約を有効に行うためには、 契約の意味や結果を理解して判断できる 意思能力が重要になります。

そのため、 認知症という診断名だけで一律に 「売却できる・できない」が決まるわけではありません。

認知症の程度や契約時点の判断能力などを 個別に確認する必要があります。

一方、 本人が契約内容を理解して判断できない状態であれば、 家族が本人の名前を使って 勝手に売買契約を締結することはできません。

状況によっては、 成年後見制度などを利用して 不動産の管理・処分を進める方法を検討します。

この記事では、 共有者が認知症になった場合の 共有不動産の売却・管理への影響、 成年後見制度、 家族ができること、 自分の共有持分だけを売却する方法まで解説します。

  1. 共有者が認知症でも不動産の所有権はなくならない
  2. 認知症なら必ず不動産売却できない?
  3. 意思能力がない状態で契約するとどうなる?
  4. 家族が代わりに売買契約へ署名できる?
  5. 委任状があれば家族が売却できる?
    1. 認知症の共有者がいて全体売却できない方へ
  6. 認知症の共有者がいると不動産全体を売却できない?
  7. 成年後見制度とは?
  8. 成年後見人は家族が自由に決められる?
  9. 成年後見人が付けば自由に不動産を売れる?
  10. 本人の居住用不動産を売却する場合
  11. 成年後見制度を利用する場合の一般的な流れ
  12. 成年後見制度はどのくらい時間がかかる?
  13. 成年後見人が選任された後も制度は続く?
    1. 後見手続きと持分売却を比較したい方へ
  14. 認知症の共有者がいても自分の持分だけなら売れる?
  15. 自分の持分を売却するとどうなる?
  16. 売却後は認知症の共有者と買主の共有になる
  17. 他の共有者が認知症になる前にできること
  18. 任意後見制度という方法もある
  19. 家族信託を検討するケースもある
  20. 認知症の共有者がいる不動産で避けたいこと
    1. 家族が勝手に本人の名前で契約する
    2. 本人の実印だけを使って契約する
    3. 認知症というだけで何もできないと思い込む
    4. 売却の直前まで問題を放置する
  21. 認知症の共有者がいる場合の選択肢を比較
  22. 認知症の共有者がいる不動産でよくある質問
    1. 認知症の共有者がいる不動産でも査定相談
  23. 共有者が認知症になった場合の確認手順
  24. まとめ|認知症の共有者がいる場合は本人の意思能力と売却範囲を分けて考える

共有者が認知症でも不動産の所有権はなくならない

共有者が認知症になったとしても、 その人が所有している共有持分が 自動的に家族へ移ったり、 他の共有者のものになったりするわけではありません。

たとえば、

  • 父:1/2
  • 長男:1/2

で共有している不動産について、 父が認知症になったとしても、 父の1/2持分は 原則として父自身の財産です。

問題になるのは、 その財産について本人が有効な契約・判断をできる状態か という点です。

認知症=持分がなくなるわけではない

認知症になっても、 所有者は本人のまま です。 問題になるのは、 売却・契約などについて本人が判断できるか という点です。

認知症なら必ず不動産売却できない?

認知症という診断を受けているというだけで、 すべての法律行為が 当然にできなくなるわけではありません。

重要なのは、 売買契約をする時点で、 本人が、

  • 何を売却するのか
  • いくらで売却するのか
  • 売却すると所有権を失うこと
  • 代わりに売却代金を受け取ること

などを理解して、 合理的に判断できる状態かどうかです。

本人に十分な意思能力があるのであれば、 認知症の診断があるからという理由だけで 売買が当然に禁止されるわけではありません。

意思能力がない状態で契約するとどうなる?

契約時に本人が 自分の行為の結果を判断できない状態であれば、 その法律行為の有効性が問題になります。

不動産は高額な財産であり、 売却によって所有権を失うため、 本人確認・意思確認は非常に重要です。

実際の決済・登記でも、 司法書士などが 本人の意思を確認することがあります。

家族が代わりに売買契約へ署名できる?

親が認知症になったからといって、 子どもが当然に 親の共有持分を売却できるわけではありません。

また、

「家族だから本人の代わりに署名・実印を押せる」

というものでもありません。

本人の有効な代理権がない状態で、 家族が勝手に不動産を処分することはできません。

委任状があれば家族が売却できる?

本人に十分な意思能力があり、 本人自身が売却内容を理解したうえで 適法に代理権を与えるのであれば、 代理人による手続きを検討できる場合があります。

しかし、 すでに本人が 委任の意味・売却内容を理解できない状態であれば、 その段階で新たに有効な委任状を作成できるのかが 問題になります。

そのため、

「昔から家族だから今から委任状を書いてもらえばいい」

と単純に考えないことが重要です。

認知症の共有者がいて全体売却できない方へ

不動産全体を売却できない場合でも、 自分の共有持分だけを売却した場合の価格を確認できます。

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認知症の共有者がいると不動産全体を売却できない?

共有不動産全体を通常の方法で売却する場合には、 原則として共有者全員が 売却手続きへ関与する必要があります。

たとえば、

  • A:1/2
  • B:1/2

でAの意思能力に問題がある場合、 Bだけの判断で Aの1/2持分まで含めて 不動産全部を売却することはできません。

Aの財産について 適切に意思決定・処分できる体制を 整える必要があります。

成年後見制度とは?

判断能力が十分でない人を 法律面・生活面から支援する仕組みとして、 成年後見制度があります。

家庭裁判所が選任した成年後見人などが、 本人の利益を守りながら 財産管理・法律行為を行います。

認知症の程度などによっては、

  • 後見
  • 保佐
  • 補助

といった制度が問題になる場合があります。

成年後見人は家族が自由に決められる?

法定後見制度では、 最終的に誰を成年後見人等として選任するかは 家庭裁判所が判断します。

家族が候補者として希望したとしても、 必ずその家族が選任されるとは限りません。

事案によっては、 弁護士・司法書士などの専門職が 選任されることもあります。

成年後見人が付けば自由に不動産を売れる?

成年後見人が選任されたからといって、 本人の不動産を 自由に好きな価格で処分できるわけではありません。

成年後見人は、 本人の利益を守る立場で 財産を管理する必要があります。

そのため、 売却する必要性・価格・条件などを 慎重に確認する必要があります。

本人の居住用不動産を売却する場合

成年被後見人の居住用不動産については、 売却などの処分を行う際に、 家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。

そのため、

「後見人を付けたからすぐ売却できる」

とは限りません。

本人の生活・居住環境への影響を含めて 判断されます。

成年後見制度は「売却するためだけの制度」ではない

成年後見制度は、 本人の権利・財産を守るための制度 です。 不動産を売りたい家族側の都合だけで 利用するものではありません。

成年後見制度を利用する場合の一般的な流れ

STEP1|本人の判断能力を確認

現在どの程度の判断能力があるのかを確認します。

医師の診断などが 必要になる場合があります。

STEP2|家庭裁判所へ申立て

必要に応じて、 本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ 成年後見等の申立てを行います。

STEP3|後見人等が選任される

家庭裁判所が、 本人の状況・財産・家族関係などを踏まえて 適切な後見人等を選任します。

STEP4|不動産売却の必要性を検討

  • 売却が本人の利益になるか
  • 価格は妥当か
  • 売却代金をどう管理するか

などを確認します。

STEP5|必要な許可を確認

本人の居住用不動産など、 家庭裁判所の許可が必要な処分については、 必要な手続きを行います。

STEP6|売買契約・決済

必要な条件・手続きが整った後に、 売買契約・決済・所有権移転登記を進めます。

成年後見制度はどのくらい時間がかかる?

申立てから選任までの期間は、 事案・家庭裁判所・調査内容などによって異なります。

そのため、

「来週売りたいからすぐ後見人を付ける」

というように、 必ず短期間で手続きが完了するとは限りません。

不動産売却の期限がある場合には、 早めに状況を確認することが重要です。

成年後見人が選任された後も制度は続く?

成年後見制度について、

「不動産を売却したらすぐ終了できる」

と考えるのは注意が必要です。

法定後見は、 原則として特定の不動産売却だけを 一回行うための制度ではありません。

本人の判断能力の状況などに応じて、 その後も財産管理・身上保護に関する 後見事務が続くことがあります。

後見手続きと持分売却を比較したい方へ

不動産全体の売却が難しい場合には、 自分の共有持分だけを売却する方法も比較できます。

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認知症の共有者がいても自分の持分だけなら売れる?

自分自身の共有持分だけを売却する場合には、 原則として他の共有者の同意は必要ありません。

たとえば、

  • 父:1/2・認知症
  • 長男:1/2

だったとしても、 長男が自分自身の1/2持分だけを売却するのであれば、 原則として父の売却同意は必要ありません。

つまり、 認知症の共有者がいることで 不動産全体の売却が難しくなっていても、 自分の持分まで当然に売れなくなるわけではありません。

自分の持分を売却するとどうなる?

長男が自分の1/2持分を第三者Cへ売却すれば、

  • 父:1/2
  • C:1/2

という共有関係になります。

長男は持分全部を売却すれば、 原則として共有関係から離れます。

一方、 買主Cが新しい共有者になります。

売却後は認知症の共有者と買主の共有になる

ここは売却前に理解しておくべきポイントです。

自分の持分を第三者へ売却すると、 買主は認知症の共有者と 新しく共有関係に入ります。

その後、 共有状態をどう整理するかについては、 買主側でも 本人の判断能力・成年後見制度などを 確認する可能性があります。

他の共有者が認知症になる前にできること

まだ本人に十分な判断能力がある段階であれば、 将来の不動産管理について 家族で話し合っておくことが重要です。

たとえば、

  • 不動産を今後どうするか
  • 誰が住むのか
  • 将来売却するのか
  • 共有状態を続けるのか

などを整理します。

問題が起きてからではなく、 本人が判断できる段階で 将来の財産管理について検討することが大切です。

任意後見制度という方法もある

本人に十分な判断能力がある段階で、 将来判断能力が低下した場合に備えて、 任意後見契約を検討する方法があります。

任意後見では、 本人があらかじめ、 将来支援してもらう人や 委任する事務などを契約で定めます。

ただし、 任意後見契約を結んだからといって その時点ですぐ任意後見人が 本人の財産を自由に処分できるわけではありません。

制度の仕組み・開始条件などを理解して 利用する必要があります。

家族信託を検討するケースもある

本人に判断能力がある段階で、 将来の財産管理に備える方法として、 民事信託・家族信託などを 検討するケースもあります。

ただし、 信託契約の内容や税務など 専門的な検討が必要です。

また、 すでに本人の判断能力が失われている状態では、 新たに有効な信託契約を締結できるかが問題になります。

早い段階で専門家へ相談することが重要です。

判断能力が低下する前と後では選択肢が違う

まだ本人が十分に判断できる
→ 将来の財産管理方法を検討できる

すでに判断能力が十分でない
→ 成年後見制度などの検討が必要になる場合がある

早い段階で方針を決めておくことが重要です。

認知症の共有者がいる不動産で避けたいこと

家族が勝手に本人の名前で契約する

本人が判断できない状態だからといって、 家族が当然に本人の代理人になるわけではありません。

適切な代理権なく 不動産売却を進めることは避けましょう。

本人の実印だけを使って契約する

実印・印鑑証明書があることと、 本人に売却意思・意思能力があることは別問題です。

本人の有効な意思確認が重要です。

認知症というだけで何もできないと思い込む

認知症には程度があります。

診断名だけで一律に判断するのではなく、 本人が契約内容を理解して判断できる状態なのかを 個別に確認する必要があります。

売却の直前まで問題を放置する

買主が決まった後に、

「共有者本人が契約内容を理解できない」

と判明すると、 売却計画そのものを 見直す必要が出てくる可能性があります。

売却を考え始めた段階で、 共有者全員の状況を確認しましょう。

認知症の共有者がいる場合の選択肢を比較

方法 主なポイント
本人が売却手続きを行う 本人に契約を判断できる意思能力があることが重要
代理人が手続きを行う 有効な代理権が必要
成年後見制度を利用 本人の利益を守りながら財産管理・処分を行う
共有者全員で全体売却 認知症の共有者について有効な意思決定・代理体制が必要
自分の持分だけ売却 原則として認知症の共有者の同意は不要

認知症の共有者がいる不動産でよくある質問

Q. 父が認知症ですが、父名義の持分を子どもが売れますか?

子どもであるという理由だけで、 父の共有持分を当然に売却できるわけではありません。 本人の意思能力・代理権・成年後見制度などを確認する必要があります。

Q. 認知症の診断があれば必ず成年後見が必要ですか?

診断名だけで一律に決まるわけではありません。 本人の判断能力の程度や 行おうとしている法律行為などを確認して判断します。

Q. 認知症でも本人が売りたいと言っていれば売れますか?

重要なのは、 単に「売りたい」と発言できるかではなく、 不動産・価格・売却による結果などを 理解して判断できる状態かどうかです。 個別に意思能力を確認する必要があります。

Q. 家族が本人の実印を持っていれば契約できますか?

実印を持っているという理由だけで、 家族に本人の不動産を処分する権限が 当然に生じるわけではありません。 本人の有効な意思・代理権などの確認が必要です。

Q. 成年後見人が付けばすぐ売却できますか?

必ずすぐ売却できるわけではありません。 本人にとって売却が必要・有益かを確認し、 居住用不動産などでは家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。

Q. 成年後見人は家族がなれますか?

家族が候補者となることはありますが、 誰を後見人等として選任するかは 家庭裁判所が判断します。 必ず希望した家族が選任されるとは限りません。

Q. 不動産を売るためだけに成年後見制度を使えますか?

成年後見制度は、 本人の権利・財産を継続的に守るための制度です。 原則として一度の不動産売却だけを目的として 売却後すぐ自由に終了させる制度ではありません。

Q. 認知症の共有者がいても自分の持分は売れますか?

自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。 そのため、認知症の共有者がいるという理由だけで 自分の持分単独の売却までできなくなるわけではありません。

Q. 自分の持分を売ったら誰が新しい共有者になりますか?

あなたの共有持分を購入した買主が、 あなたに代わって新しい共有者になります。 持分全部を売却すれば、 あなたは原則として共有関係から離れます。

Q. 認知症になる前にできる対策はありますか?

本人に十分な判断能力がある段階で、 不動産の今後について家族で話し合ったり、 任意後見・民事信託などの制度を検討したりする方法があります。 具体的な制度選択は専門家へ確認するとよいでしょう。

認知症の共有者がいる不動産でも査定相談

不動産全体の売却が難しい場合でも、 自分の共有持分だけを売却した場合の価格を確認できます。

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共有者が認知症になった場合の確認手順

STEP1|現在の登記を確認

誰が何分の何を所有しているのか 登記事項証明書で確認します。

STEP2|本人の状況を確認

売却などの契約内容を 本人が理解して判断できる状態なのかを確認します。

STEP3|売却したい範囲を確認

  • 不動産全体を売りたいのか
  • 自分の共有持分だけを売りたいのか

を分けて考えます。

STEP4|全体売却なら本人側の手続きを整理

本人の意思能力に問題がある場合には、 成年後見制度など 適切な財産管理方法を検討します。

STEP5|自分の持分売却も比較

全体売却に時間がかかる場合には、 自分の共有持分だけを売却する場合の 価格・条件も確認します。

まとめ|認知症の共有者がいる場合は本人の意思能力と売却範囲を分けて考える

共有者の一人が認知症になったとしても、 その人が所有する共有持分が 自動的に家族・他の共有者へ移るわけではありません。

所有者は原則として本人のままです。

重要なのは、 本人が不動産売却の意味・結果を理解して 判断できる状態なのか という点です。

認知症という診断名だけで、 売却できる・できないを 一律に決めるものではありません。

一方、 本人に十分な意思能力がない場合には、 家族が本人の名前を使って 勝手に不動産を売却することはできません。

子ども・配偶者であっても、 当然に本人の代理権を持っているわけではありません。

このような場合には、 本人の状況に応じて 成年後見制度などを検討することがあります。

ただし、 成年後見制度は 不動産を売却する家族のための制度ではなく、 本人の権利・利益を守るための制度です。

また、 成年後見人が選任されたからといって、 本人の不動産を自由に売却できるわけではありません。

特に本人の居住用不動産については、 処分に家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。

そのため、 共有者が認知症になった場合には、 まず、

  • 現在の登記
  • 本人の意思能力
  • 売却したい不動産・持分
  • 成年後見等の必要性

を整理することが重要です。

また、 不動産全体の売却と、 自分自身の共有持分の売却は分けて考える必要があります。

認知症の共有者がいるため 不動産全体を売却できない場合でも、 自分が所有する共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。

そのため、

  • 成年後見制度を利用して全体売却を進める
  • 共有状態をそのまま維持する
  • 自分の共有持分だけを売却する

などを比較して、 現在の状況に合った方法を考えます。

共有者が認知症になった場合には、 「認知症だから売れない」と一律に判断せず、 本人の意思能力・現在の登記・売却する範囲を確認することが重要です。 不動産全体を売却する場合には成年後見制度などの手続きが必要になることがありますが、 自分自身の共有持分だけであれば原則として単独売却も検討できます。

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