兄弟や親族と共有しているアパート・マンションなどでは、 賃貸管理を管理会社へ委託しているケースがあります。
しかし、
- 管理委託料が高い
- 空室がなかなか埋まらない
- 担当者の対応が遅い
- 修繕費の提案が高い
- 家賃管理に不満がある
などの理由から、 共有者の一人が管理会社を変更したいと考えることがあります。
そこで問題になるのが、
「自分も所有者だから勝手に管理会社を変えられる?」
「共有者の一人が反対したら変更できない?」
「50%ずつの共有ならどう決める?」
「他の共有者が勝手に管理会社と契約したら?」
という点です。
結論からいうと、 共有不動産の管理会社について、 一人の共有者が常に自由に変更できるわけではありません。
管理会社への委託は、 契約内容にもよりますが、 共有物の管理に関する意思決定が問題になることがあります。
また、 共有者間で管理会社の変更を決められるかという問題と、 現在の管理会社との契約を どのような条件で解約できるかという問題は別です。
この記事では、 共有不動産の管理会社を変更する場合の決め方、 持分50%ずつで意見が割れた場合、 勝手に管理会社を変更された場合、 管理方針が合わない場合の解決方法まで解説します。
- 共有不動産の管理会社は勝手に変更できる?
- 共有物の管理は「持分価格の過半数」が基本
- 50%ずつの共有で意見が分かれたら?
- 管理会社を変更する前に現在の契約を確認
- 管理会社を変更するときに引き継ぐもの
- 管理会社変更で入居者に影響はある?
- 管理委託料が高い場合はどうする?
- 管理会社から高額な修繕を提案された場合
- 他の共有者が勝手に管理会社を変更した場合
- 勝手に変更された管理会社へ費用を払う必要はある?
- 家賃の振込先を勝手に変更された場合
- 管理会社が勝手に家賃を変更することはある?
- 管理会社を変更するメリット・注意点
- 管理会社を変更するときの流れ
- 共有者同士で管理方針が合わない場合
- 共有者間で管理ルールを作る方法
- 管理方針が合わないなら持分売却も選択肢
- 賃貸中でも共有持分は売却できる?
- 共有者全員で不動産を売却する方法
- 共有者が売却にも反対する場合
- 管理会社でもめた場合に避けたいこと
- 共有不動産の管理会社変更でよくある質問
- まとめ|管理会社の変更は持分・契約・引継ぎの3点を確認する
共有不動産の管理会社は勝手に変更できる?
共有不動産について、 一人の共有者が、
「自分も所有者だから今日から別の管理会社にする」
と自由に変更できるとは限りません。
賃貸不動産の管理会社は、
- 家賃回収
- 入居者対応
- 入居者募集
- 修繕手配
- 更新・退去対応
など、 共有不動産の管理に関する業務を行います。
そのため、 管理会社の選定・変更については、 共有者間で適切に意思決定する必要があります。
共有物の管理は「持分価格の過半数」が基本
共有物の管理に関する事項は、 原則として、 各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決めます。
ここで重要なのは、 共有者の人数ではなく、 持分割合を基準にすることです。
たとえば、
- A:60%
- B:20%
- C:20%
の場合、 BとCの2人が同じ管理会社を希望していても、 持分合計は40%です。
単純に、
「3人中2人が賛成だから多数決で決定」
とは考えません。
共有物の管理については、 A:60%
B:20%
C:20% なら、 B+C=2人でも40%です。 まず登記事項証明書で 正確な持分割合を確認することが重要です。
50%ずつの共有で意見が分かれたら?
夫婦・兄弟などでは、
- A:1/2
- B:1/2
という共有状態がよくあります。
この場合、 AもBも持分は50%です。
管理について持分価格の過半数が必要な事項では、 一方だけで過半数を形成することはできません。
そのため、
- Aは現在の管理会社を継続したい
- Bは別の管理会社へ変更したい
と意見が完全に分かれると、 管理方針を決められない状態になる可能性があります。
管理会社を変更する前に現在の契約を確認
共有者間で変更について話し合う前に、 現在の管理委託契約を確認しましょう。
特に、
- 契約者は誰になっているか
- 契約期間
- 自動更新の有無
- 中途解約の条件
- 解約予告期間
- 違約金の有無
などを確認します。
共有者間で、
「来月から別会社へ変えよう」
と決めたとしても、 現在の管理委託契約を 即日終了できるとは限りません。
管理会社を変更するときに引き継ぐもの
管理会社を変更する場合には、 単に契約先を変更するだけではありません。
現在の管理状況に応じて、
- 賃貸借契約書
- 入居者情報
- 家賃の入金状況
- 滞納情報
- 敷金等の情報
- 修繕履歴
- 鍵
- 更新時期
などの引継ぎが必要になります。
引継ぎが不十分だと、 入居者対応や家賃管理に 支障が出る可能性があります。
管理会社変更で入居者に影響はある?
管理会社を変更すると、 入居者にとっては、
- 家賃の振込先
- 問い合わせ先
- 緊急時の連絡先
などが変わる可能性があります。
そのため、 変更時には入居者へ 適切に案内する必要があります。
特に家賃の振込先を変更する場合には、 入居者が誤って旧口座へ送金しないよう 明確に案内することが重要です。
管理委託料が高い場合はどうする?
現在の管理会社に不満がなくても、 管理委託料が高いことを理由に 変更を検討するケースがあります。
この場合には、 単純に管理料率だけで比較するのではなく、
- 入居者募集業務
- 家賃回収
- 滞納対応
- 更新業務
- 退去立会い
- 修繕対応
- 営業時間・緊急対応
など、 管理内容も比較することが重要です。
管理委託料が安くなっても、 業務範囲が大きく減れば、 共有者自身の負担が増える可能性があります。
管理会社から高額な修繕を提案された場合
管理会社から、
「外壁修繕が必要です」
「給湯器を交換しましょう」
など、 高額な修繕を提案されることがあります。
この場合には、 管理会社の提案だけで即決せず、
- 本当に修繕が必要か
- 緊急性があるか
- 工事範囲は適切か
- 金額は妥当か
- 他社から見積もりを取る必要がないか
などを確認しましょう。
特に高額な工事では、 管理会社の変更問題と 修繕費の負担問題が同時に発生することがあります。
また、 工事内容によっては、 共有者間でどのように意思決定する必要があるのかも 確認することが重要です。
他の共有者が勝手に管理会社を変更した場合
共有者の一人が、 他の共有者へ相談せずに 新しい管理会社と契約してしまうケースがあります。
この場合には、 すぐに、
- 誰が新しい契約を締結したのか
- その共有者の持分割合
- どのような権限で契約したのか
- 従前から管理を任されていたのか
- 新しい管理委託契約の内容
- 従来の管理会社との契約状況
を確認しましょう。
特に、 旧管理会社との契約が終了していない状態で 新しい管理会社とも契約している場合には、 管理業務や費用負担が複雑になる可能性があります。
勝手に変更された管理会社へ費用を払う必要はある?
他の共有者が契約したからといって、 請求された管理委託料について 何も確認せず支払う必要があるとは限りません。
まず、
- 管理会社変更の決定がどのように行われたか
- 契約を締結した共有者に権限があったか
- 管理委託料はいくらか
- 具体的にどの業務を委託しているか
- 共有者間で費用負担について合意があるか
を確認します。
管理会社との契約関係と、 共有者間で最終的に誰が費用を負担するのかは 分けて整理することが重要です。
家賃の振込先を勝手に変更された場合
管理会社の変更に伴って、 入居者からの家賃振込先まで 変更されることがあります。
共有者の一人が、
「これから家賃は自分の口座へ振り込んでください」
と入居者へ案内してしまうケースもあります。
この場合には、 家賃の受取口座だけでなく、 共有者間で家賃収入を どのように分配するのかも確認する必要があります。
一人の共有者の口座へ家賃全額が入っているからといって、 その家賃収入が当然に その共有者だけのものになるとは限りません。
管理会社が勝手に家賃を変更することはある?
管理会社は、 所有者との管理委託契約などに基づいて 賃貸管理業務を行います。
そのため、 管理会社だからという理由だけで、 所有者側の意思決定を無視して 自由に家賃を変更できるわけではありません。
一方で、 管理委託契約の内容によって どこまでの業務を管理会社へ任せているのかは異なります。
- 賃料設定
- 入居者募集
- 更新
- 条件交渉
について、 管理会社にどこまで権限を与えているのか 契約書を確認しましょう。
管理会社を変更するメリット・注意点
| 項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 管理委託料 | 変更によって毎月の管理コストを抑えられる可能性がある |
| 入居率 | 募集力のある会社へ変更することで空室改善につながる可能性がある |
| 対応力 | 入居者対応・修繕対応などが改善する可能性がある |
| 解約条件 | 旧管理会社との契約によっては予告期間や違約金などを確認する必要がある |
| 引継ぎ | 契約書・鍵・敷金・入金情報などを適切に引き継ぐ必要がある |
| 共有者間の合意 | 管理に関する意思決定を適切に行う必要がある |
管理会社を変更するときの流れ
登記事項証明書で、 現在の共有者と それぞれの持分割合を確認します。
- 契約期間
- 解約予告期間
- 違約金
- 管理業務の範囲
などを確認します。
- 管理委託料
- 入居率
- 滞納状況
- 修繕対応
- 入居者対応
などを確認します。
管理委託料だけではなく、 業務範囲・募集力・対応体制なども比較します。
持分割合や共有者間の合意を確認したうえで、 管理会社を変更するか決めます。
現在の契約に従って、 必要な解約手続きを行います。
賃貸借契約書・入居者情報・鍵・家賃情報・敷金などを 適切に引き継ぎます。
管理会社・連絡先・家賃振込先などが変更される場合には、 入居者へ適切に案内します。
管理委託料が安くても、 ・入居者募集力が弱い
・対応範囲が狭い
・修繕対応が遅い
・夜間対応がない などの違いがある可能性があります。 管理料率だけではなく、 サービス内容全体を比較することが重要です。
共有者同士で管理方針が合わない場合
管理会社の変更でもめている場合でも、 本当の原因が 管理会社だけではないケースがあります。
たとえば、
- Aは収益性を重視したい
- Bは空室を避けたい
- Aは積極的に修繕したい
- Bは費用をかけたくない
- Aは売却したい
- Bは保有を続けたい
など、 賃貸経営そのものについて 考え方が違うケースです。
この状態では、 管理会社を変更しても、 家賃・修繕・売却など 別の問題で再び対立する可能性があります。
共有者間で管理ルールを作る方法
今後も共有状態で 賃貸経営を続けるのであれば、 管理についてルールを決めておく方法があります。
たとえば、
- 管理会社の窓口担当者を決める
- 家賃収入の分配日を決める
- 一定額以上の修繕は事前協議する
- 賃料変更は共有者間で協議する
- 管理会社変更時の手順を決める
- 収支報告を定期的に共有する
などです。
重要な内容については、 書面で残しておくと 将来の認識違いを減らしやすくなります。
管理方針が合わないなら持分売却も選択肢
共有者と、
- 管理会社
- 家賃
- 修繕
- 費用負担
- 売却時期
などについて毎回対立している場合には、 自分の共有持分を売却する方法もあります。
自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく第三者へ売却できます。
持分全部を売却すれば、 原則として自分は共有関係から離れることになります。
賃貸中でも共有持分は売却できる?
入居者がいる賃貸不動産でも、 自分の共有持分を売却することは検討できます。
査定では、
- 現在の家賃
- 賃貸借契約
- 入居率
- 管理委託契約
- 管理委託料
- 修繕履歴
- 持分割合
などが確認されることがあります。
共有者全員で不動産を売却する方法
共有者全員が、 共同で賃貸経営を続けないことに合意できれば、 不動産全体を売却する方法があります。
入居者がいる場合でも、 収益不動産として 売却できるケースがあります。
ただし、 共有不動産全体を通常の方法で売却する場合には、 原則として共有者全員の協力が必要です。
共有者が売却にも反対する場合
- 管理会社の変更にも反対
- 持分売買にも応じない
- 不動産全体の売却にも反対
という状態になることがあります。
この場合でも、 自分の共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく売却できます。
また、 共有状態そのものを解消したい場合には、 共有物分割を検討する方法があります。
管理会社でもめた場合に避けたいこと
他の共有者へ何も言わず契約する
自分も共有者だからという理由だけで、 他の共有者へ何も説明せず 新しい管理会社と契約すると、 新たなトラブルになる可能性があります。
現在の管理委託契約を確認せず変更する
旧管理会社との契約には、 解約予告期間や違約金などが 定められている場合があります。
必ず契約内容を確認しましょう。
管理委託料だけで選ぶ
料金だけでなく、 業務範囲や募集力、 入居者対応なども比較することが重要です。
家賃・敷金などの引継ぎを曖昧にする
管理会社変更時には、 お金や契約書類について 新旧管理会社間で適切に引き継ぐ必要があります。
共有不動産の管理会社変更でよくある質問
Q. 自分も共有者なら一人で管理会社を変更できますか?
自分も共有者だからという理由だけで、 常に一人で自由に管理会社を変更できるとは限りません。 管理会社の選定・変更が共有物の管理に関する事項となる場合には、 持分割合などを踏まえた共有者間の意思決定を確認する必要があります。
Q. 共有者3人のうち2人が賛成すれば管理会社を変更できますか?
共有物の管理に関する事項では、 原則として共有者の人数ではなく、 持分価格の過半数が基準になります。 3人中2人が賛成していても、 その2人の持分合計が過半数に達しているか確認する必要があります。
Q. 持分50%ずつで管理会社について意見が分かれたら?
50%ずつの共有では、 持分価格の過半数による決定が必要な事項について、 一方だけでは過半数を形成できません。 現在の管理状況や費用、 新しい管理会社の条件などを比較して 共有者間で協議する必要があります。
Q. 持分60%を持っていれば一人で管理会社を変更できますか?
管理に関する事項については、 持分価格の過半数が重要になる場合があります。 ただし、現在の管理委託契約の契約者・解約条件や、 共有者間で定めた管理方法なども確認する必要があります。 持分割合だけを見て手続きを進めるのは避けましょう。
Q. 他の共有者が勝手に管理会社を変更しました。どうすればいいですか?
まず、新しい管理委託契約の内容、 契約を締結した共有者の持分割合や権限、 旧管理会社との契約状況を確認します。 家賃の振込先や入居者への案内まで変更されている場合には、 それらも含めて現在の管理状況を整理することが重要です。
Q. 管理会社を変更すれば家賃の振込先も変えられますか?
管理会社変更に伴って家賃の振込先を変更することはあります。 ただし、入居者へ適切に案内するとともに、 共有者間で誰が家賃を受け取り、 どのように分配するのかも明確にしておく必要があります。
Q. 管理会社が高額な修繕を提案しています。従う必要がありますか?
管理会社から提案されたという理由だけで、 すべての工事をそのまま実施しなければならないとは限りません。 工事の必要性・緊急性・金額・工事範囲などを確認し、 必要に応じて複数の見積もりを比較することも検討します。
Q. 管理会社の変更でもめていても自分の共有持分は売却できますか?
自分が所有している共有持分だけであれば、 原則として他の共有者の同意なく第三者へ売却できます。 現在の管理委託契約や賃貸状況、 共有者間のトラブルなどは 査定時に正確に伝えることが重要です。
Q. 入居者がいる状態でも共有持分を売却できますか?
賃貸中の共有不動産でも、 自分の共有持分の売却を検討できます。 現在の賃料・入居状況・賃貸借契約・管理委託契約・ 収支状況などが査定や売買条件に影響する可能性があります。
Q. 共有者と管理方針がまったく合わない場合はどうすればいいですか?
今後も共有を続けるのであれば、 管理会社・家賃・修繕・費用負担などについて 管理ルールを明確にする方法があります。 共同経営そのものが難しい場合には、 共有者間の持分売買、 第三者への持分売却、 不動産全体の売却、 共有物分割なども比較します。
まとめ|管理会社の変更は持分・契約・引継ぎの3点を確認する
共有不動産の管理会社については、 一人の共有者が所有者であるという理由だけで、 常に自由に変更できるわけではありません。
管理会社の選定・変更が 共有物の管理に関する事項となる場合には、 原則として共有者の持分価格を基準とした 意思決定が問題になります。
そのため、 共有者が複数いる場合には、 単純に人数だけを見るのではなく、
「誰が何%の共有持分を持っているのか」
を確認することが重要です。
たとえば、
- A:60%
- B:20%
- C:20%
なら、 BとCの2人が同じ意見でも 持分合計は40%です。
また、 AとBが50%ずつ所有している場合には、 持分価格の過半数による決定が必要な事項について、 一方だけでは過半数を形成できません。
そして、 共有者間で管理会社を変更する方針が決まったとしても、 それだけで現在の管理委託契約が 直ちに終了するわけではありません。
変更前には、
- 現在の契約者
- 契約期間
- 解約予告期間
- 違約金
- 管理業務の範囲
を確認しましょう。
新しい管理会社へ変更するときには、
- 賃貸借契約書
- 入居者情報
- 家賃の入金状況
- 敷金等の情報
- 修繕履歴
- 鍵
などの引継ぎも重要です。
家賃の振込先や問い合わせ先が変更される場合には、 入居者への案内も必要になります。
また、 管理会社を比較するときには、 管理委託料の安さだけで決めないことも重要です。
- 入居者募集力
- 滞納対応
- 修繕対応
- 更新・退去業務
- 緊急時の対応
など、 管理サービス全体を比較しましょう。
一方、 管理会社を変更するたびに共有者ともめるだけでなく、
- 家賃変更でもめる
- 家賃収入の分配でもめる
- 修繕費でもめる
- 不動産の売却でもめる
という状態が続いている場合には、 問題の原因が管理会社ではなく、 共有者同士で共同経営を続けることそのもの にある可能性があります。
その場合には、
- 管理ルールを明確にして共有を続ける
- 他の共有者へ自分の持分を売却する
- 他の共有者の持分を買い取る
- 自分の共有持分を第三者へ売却する
- 共有者全員で不動産全体を売却する
- 共有物分割によって共有状態を解消する
などを比較できます。
共有不動産の管理会社変更でもめた場合は、 「持分割合」「現在の管理委託契約」「新旧管理会社の引継ぎ」 を確認したうえで適切に手続きを進め、 賃貸経営の方針そのものが共有者と合わない場合には、 共有関係を今後どうするのかまで検討することが重要です。



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